『戦争の天才』はジェストカン神聖国と戦争する!
会談から数ヶ月。
あれから定期運航船は完全になくなり、国交は断絶された。
戦争はもはや避けられないのかもしれない。
それと時期を同じくして海賊船の数は増加した。
一応、重要な商船には海軍の護衛をつけたり、巡回警備はしているので、いくらかは守ることができているが、それでも、すべての商船を守ることはできていない。
「陛下!大変です!」
ハベルゼンがいきなり、扉を開けた。
そして真っ青な顔で話し始めた。
「ジェストカン神聖国海軍がすぐそこまで迫ってきています!艦隊数は100隻を超えているそうです!現在、高野長官を指揮官とした『聯合艦隊』を迎撃に向かわせるところです」
「そうか、なら安心だ。陸軍は直ちにジェストカン神聖国に上陸準備を」
‐‐‐
俺の名前は高野 五十六。
元、大日本帝国帝国海軍元帥海軍大将だ。
今はフェアンベルゼン王国海軍大臣だ。
たった今、俺ら『聯合艦隊』は港を出港した。
石原からは『朗報を期待している』とだけ言われた。
敵は既に近海まで接近しており、接敵は間もなくだ。
今回の聯合艦隊の戦力は空母4隻 重巡4隻 軽巡9隻 駆逐艦20隻だ。
潜水艦は既に別の作戦に参加してもらっている。
今回の敵国海軍遊撃作戦は「神罰作戦」となずけられている。
どうやら、前に石原が「神罰が下らんことを」と言われたらしくそれに対しての皮肉でなずけたそうだ。
すでに偵察機を発艦させ、現在は発見待ちだ。
どうしてかは分からないが、石原が正確な敵海軍の航海経路を入手した。
なんでも、敵の大臣を懐柔させたらしい。
なので、恐らくすぐに敵は発見できるだろう。
「3番機より、通信!『敵発見セリ数優二100ヲ超エル』との事です!敵は3時の方向、4000海里先です」
「よし、全機発艦だ。訓練通りにやれば必ず勝てる!」
俺の号令で艦載機は次々に発艦していく。
機体は『零式艦上攻撃機』で最高速300㎞/hを誇り兵装は50キロの焼夷弾を2発積んでいる。
空母は1隻で
15機の艦載機を収容でき、聯合艦隊は4隻の空母を保有しているので合計で60機を戦線に出すことができる。
今回敵は戦闘機を保有していないので全機艦攻を搭載している。
「敵、視認できました」
その報告を受け、俺は望遠鏡を覗く。
すると、豆粒ほどには小さいものの、無数の敵艦が見える。
敵船は、旧式のガレオン船ではあるものの、対魔法結界のスクロールを使っており、魔法は効かない。
それに、風のスクロールをしようすることで速力も大幅に向上させているらしい。
船にそこまでの強化をするのは魔法大国のジェストカン神聖国だけだ。
それ故、過去一度も負けたことない彼らは、『神の艦隊』と言われ他国から恐れられてきた。
尤も、その安全神話は今日崩れることになる。
「第一波攻撃隊、接敵します」
第一波攻撃隊は4機で構成されている。
その4機が今、攻撃を開始した。
次の瞬間、船は炎に包まれた。
その炎は見る見るうちに広がって、一気に船全体を包んだ。
焼夷弾は、特殊な消火剤が無い限り消火できない。
水をかけようと、布で仰ごうと魔法を使おうと、消すことはできない。
これが当たった瞬間、敵はもう成すすべなく逃げるしかない。
それから第二波、第三波攻撃隊が攻撃を敢行する。
敵はろくな対空兵装もないため、抵抗もできずに火だるまになっていく。
一方的だった。
敵の射程圏内から、ただ一方的に航空機を投入してこれを撃破する。
それに対して敵が仕掛けてきたのは単縦陣による反航戦だった。
敵は戦列を組みなおすと共に、速力をあげてこちらに突撃してきた。
「全艦に伝えろ、これより丁字戦法を行う」
俺の号令とともに、艦隊は、重巡を真ん中にしながら隊形を整える。
空母は砲戦に向かないので後ろで待機してもらう。
しばらくの後、聯合艦隊は単縦陣を形成する。
そしてそのまま、突撃を行う。
「敵、重巡の射程圏内に入りました」
「よし、ターン開始!」
聯合艦隊はいきなり左折を開始する。
俺らは横を向き、敵は縦を向く。
この陣形は非常にまずいと感じたであろう敵艦隊は右折を開始して、同航戦に持ち込もうとする。
しかし、俺らがそれを許すはずはない。
速力、旋回力で劣る彼らにたいして、俺らは横を向き、敵は縦を向く陣形、『丁字』を完成させる。
「撃て!」
その号令とともに、聯合艦隊は総火力を敵艦に叩きつける。
俺らは旋回砲塔を有しているが、彼らにはない。
敵は大砲を使えずに、一方的にやられていく。
中には魔法を使って攻撃を試みる者もいたが、全艦対魔法結界を張っている聯合艦隊には一切が無効だ。
当然、その間も、敵艦隊後方には航空機隊による攻撃が行われている。
前からは圧倒的な威力、砲門数による攻撃。
後ろでは防ぎようのない空対艦攻撃。
敵は旋回して撤退しようとするが、時すでに遅し。
もはや陣形はばらばらであり、指揮もろくに通らないだろう。
俺らは速やかに、これらを撃破した。
少し少しとり逃がしたものの、それでも圧倒的と言える戦果だ。
「全艦に連絡。第二作戦に移行する」
俺は部下にそう指示する。
普通であれば海戦が終われば、港に寄港して、補給をするが、今回の戦争に必要なのは進撃速度。
と、石原が言っていた。
なので補給はせずに、そのまま次の任務地へ向かう。
艦隊は再度、隊形を整え、敵の軍港に向かった。
名前は『ダンレー軍港』というらしい。
神の艦隊の母港であり、かなりの規模だそうだ。
今回は、海軍によってそこを砲撃、爆撃し無力化。
後、陸軍が上陸作戦を行うらしい。
すでに陸軍にはこれよりダンレー軍港に向かう旨の電報を入れてある。
恐らく今頃は機動部隊を率いて港を出発した頃だろう。
そう、今回の作戦は全て俺らの成功を前提とした作戦だ。
石原のその作戦は軍人とは思えない作戦だが、それでも成功させればいいだけの事。
それから2時間ほどで、ダンレー軍港のそばまで接近した。
偵察機の情報によると、兵力は5000程度で、事前情報では戦術歩兵は1人だそうだ。
私は無線機を手にして、各艦に連絡を送る。
「これより、第二作戦『神の咆哮』を開始する!」




