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『戦争の天才』は内戦に干渉する!

 ヴィクトワール王国をでてから3週間が経った。

 私を除くフィストのメンバーはもうすでにクライスト公国についている頃だろう。

 私はというと、現在内政に注力している。

 健介の件は我々フィストに対する殺人未遂とモンスターの不正利用の2つを理由に警察に逮捕してもらうことにした。


 城に着いてから聞いたのだが、残り一回分残っていた異世界召喚のスクロールはどうやら青木少尉が使ったらしい。

 なんでも、キ1のテストパイロットが欲しかったらしく『ハンス』というドイツのエースパイロットを召喚したらしい。

 恐らく『ハンス=ヨアヒマ・マルセイユ』の事だろう。

 彼は北アフリカ戦線で活躍した英雄で158機を撃墜。

 Bf109乗りで格闘戦を好んだという。

 ついたあだ名は『アフリカの星』

 まだ会ってはいないがいつかあったら挨拶をしておこう。

 

 話は変わるが、現在クライスト公国の戦況はリノ・バステル軍が有利と言ったところで、エルベルト軍は若干押されている。

 ジェストカン神聖国とヴァントリアス帝国はリノ・バステル軍を支援しており、情報によれば、双方が独自開発した新型小銃を貸与していると聞く。

 その小銃は単装式ではあるものの後装式で薬莢を使用するそうだ。

 エルベルト軍に銃はほとんどなくせいぜい数十丁らしいので、十分な脅威と言えるだろう。

 しかも、リノ・バステルの支持者は多くが貴族であるため兵士の質も高い。

 対してエルベルト軍はが民衆が支持者の中心であり、練度が低く武器も不十分だ。

 では、我が国が武器支援をするべきなのだが、クライスト公国の西部と北部はリノ・バステル軍が占領しており我が国との国境沿いはリノ・バステル軍が占領している。

 逆にエルベルト軍が占領しているのは南部と北部で一応その国境沿いにも小国はいくつかあるものの、戦火が及ぶのを恐れた各国は不干渉を貫いている。


 なので、エルベルト軍の最優先事項は我が国と国境を接する事であり、そうすれば我が国は惜しみなく武器、兵器を援助できる。

 

「陛下、お時間です」


 ハベルゼンが執務室に入ってそう言った。

 これから各官僚たちを集めて会議がある。

 議題はクライスト公国についてだ。


 私たちは早速会議室に向かった。

 

「何かエルベルトから報告はあったか?」


「いえ、とくには聞いておりません」


 そうか。

 戦況は苦しいと聞いている。

 防衛が精一杯で、攻勢は出来そうにないらしい。

 早めに援助したいが、そのためには国境を接する必要がある。

 が、攻勢はかなり厳しい。

 ジレンマだ。

 密入国による秘密裏の援助は行うつもりだが、焼け石に水だ。

 さてどうするか....


 そんなことを思っていると、会議室に着いた。

 扉を開けると、すでに全員が席に座っていた。

 私が席に着くと会議が始まった。

 

「さて、今回のクライスト公国内戦に対する我が国の対応ですが、どうされます陛下?」


 そう聞いてきたのはこの国の宰相『オットー・レークラー』

 すべてを平均的にこなす万能な宰相だ。

 よく、私の無茶をハベルゼンとともに何とかしてくれている。


「そうだな。私の作戦はこうだ。

 

 まず、我々はエルベルト軍を支援すると他国に公表する。

 それでリノ・バステル軍の兵が少しでも国境沿いに配備され前線から退くなら御の字だ。


 我が国も万が一を考えて国境沿いに部隊を常時配置する。

 もし敵が攻め込んだ場合は新兵器の使用を許可する。 


 次に、私は現地に行き、戦争指導をする。

 そこで何とかして我が国と国境を接し、そこから近代武器を提供しその武器をもとに勝利する。

 以上だ」


「あまりに乱雑だ」


 そう言ったのは高野だ。


「肝心の作戦がまるでない。そもそも防衛が限界のエルベルト軍でどうやって攻勢をするんだ?武器の質、兵士の士気で劣っているエルベルト軍がまともに攻勢したところで勝てる見込みはないだろう?」


 確かに高野の言うとおりだ。

 防衛で手一杯の軍は攻勢なんてできやしない。

 

 が、それは前世の話だ。

 ここは異世界。

 異世界には異世界の戦い方がある。


「まず、軍を攻勢と防衛に分ける。

 そして魔法を駆使して強力な地下陣地を作りあげる。

 そこで防衛して敵を引き付けている間に、攻勢部隊が我が国と国境を接するまで攻め込む」


「防衛で手一杯なのにこれ以上軍を分けられるのか?」


「おそらく、エルベルト軍は適切に銃を使っていない。

 たかが数十丁といえど適切に使えば脅威になる。

 それにここは異世界。

 個人の戦闘能力の差が激しく、兵器に匹敵する強さを持った者もいる。

 そう言った者を効果的に配置すれば攻勢部隊は編成可能と考えている」


「わかった。陸の事は陸に任せる。海ですべきことはあるか?」


「いや、今のところはない。が、エルベルト軍が港を奪還したら海上輸送を要請するかもしれない」

 

「わかった、準備しておこう」


「他に、何か言いたいことがあるものは?」


 私の問いに皆首を横に振った。

 なら、これで会議は終わりでいいだろう。

 後の詳しいことはハベルゼンとオットーに任せよう。

 現状余談を許さない状況だ。

 いち早く現場に行きたい。

 

 どうやら敵の国境付近の警備は手薄で森であれば、夜間に無灯火であれば簡単に侵入できるらしい。

 



‐‐‐



 数日後、私は城をあとにした。

 ハベルゼンには城での内政を頼んだ。

 国境付近までは列車を使い、そのあとは徒歩だ。

 現在、諜報部が見つけた最も敵に捕まりずらい道をくろぬりの馬車で通っている最中だ。

 敵は内戦中で国境警備にそう多くの人員は避けない。

 大通りは検問しているらしいが、それ以外の道は何もないそうだ。

 エルベルト軍の占領地まではそう遠くはない。

 馬車なら一日もあればつくだろう。 


 さて、この内戦一体どうなるのだろうか。

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