表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/13

◇5

「3人一組の態勢は絶対に崩すなよ!」


「はいっ!」



 今日は狩猟任務の日。ここ首都の周りには森が多いから、様々な動物達が生息している。狂暴化する動物もいるため定期的に数を減らす任務を課せられているのだ。



「おら、そっち行ったぞテレシア!」


「はいっ!」



 久しぶりに城外で剣を振るっているからいつもよりも気合いが入る。まぁ、昨日まで色々と頭の中が大混乱していたから考えないように全力で動物達を仕留めているわけでもあるが。


 なんて思いつつ、動物を一刺しで仕留めた。



「おぉ、お前結構仕留めただろ」


「小さいのは全部私にお任せください」


「大型は難しいくせして小さいのは確実に仕留めるからな、お前。さすがマーフィス卿の娘だよ」


「父の名前は出さないでください」


「ははっ、悪い悪い」



 まぁ、確かにそれもあるだろうけれど。


 私は剣士の家に生まれたわけだから小さい頃から剣を振っているわけで。女とあって力はなくとも仕留められるものは確実に仕留めますとも。


 ……半分八つ当たりなところもあるけれど。


 だって……あの団長様の考えが全く分からないんだもん。まぁ、興味本位で遊ばれてるんだろうけど……一体いつまで続くのだろう。何だか振り回されているのは分かってるけれど……一体どうしたらいいのか。


 昨日、あの執務室の悪魔と、帰り際に後ろから話しかけてきたあの男は、本当に同一人物なのかっていう所も混乱してしまっているから困ったものだ。



「そっち行ったぞ~」


「はいっ」



 この状況をただ私は耐えればいいだけなの? じゃあ、どこまで続くの?


 よく、分からないな。



「こんなもんか?」


「このエリアはだいたい仕留めたか。一旦戻るか?」


「そうだな」



 昨日、気をつけてなって言われたんだったっけ。まぁ、ちょっと葉っぱで切っちゃったところ以外は無傷だ。これを傷と言うのかは分からないが。これくらい血を拭いて放っておけば治る。


 でも、何となく団長様に気付かれたくないと思ってしまうところもある。どうして? さぁ、どうしてだろう……



 あらかた終わったのか、戻ってきていた先輩方がちらほらいた。その中には団長達も。


 けれど、団長は私を見つけるなりすぐにこちらにやってきて。



「マーフィス、戻ったらすぐ執務室に来るように」


「え?」


「話がある」


「話、ですか。分かりました」



 話、か。


 ……もしかして、何かバレた? 近衛騎士団長との事で。や、やばい……団長にまで耳に入ったなんて……こ、殺される? ク、クビ……!?


 いやいやいやクビだけはダメだって!! ど、どうしよう……


 なんて不安と恐怖に押し潰されつつも、任務終了との事で城に戻ったのだのだ。



「近衛騎士団の方から要請が来た。ウチの女性騎士団員を派遣してほしいとのことだ」


「派遣、ですか……」



 近衛騎士団から、派遣……? しかも、女性騎士を?


 た、確かに騎士団の中で女性騎士なのは私だけだ。なら第三騎士団の私が選ばれるのだろうけど……何故?



「任務内容は聞いていないが、しっかりやれよ」


「はいっ!」



 明日の早朝、あちらの執務室に向かうことになってしまった。


 もう恐ろしくて仕方なかった。冷や汗ダラダラである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ