8 サケハラて言葉は現代語だと思います
投稿ミス
宿舎初日。
朝日が眩しいです。
・・・頭痛い。
昨日、八の鐘が鳴る前に宿舎に着いた私を待っていたのは、アスペリナ様とルーファリア様に復数の女性。
私服なので騎士なのか兵士なのかは分からない。
宿舎は西と東で男女に別れており。
西側は女性宿舎に成っていた。
数十年ぶりの特例として教会から許可が出たらしく。正式に騎士見習いとして紹介された。
歓迎されないかなと危惧していましたが、無事挨拶を済ませて歓迎会へ。というか、彼女達の飲む口実にされたみたいです。
当然、私にも勧めて来るので仕方なく付き合います。今日はもう既にお昼にワインを一杯飲んでいるので、余り飲みたくは無いのですけど。
この世界、衛生面は余り良くないので生水は絶対に飲んではいけません。必ず白湯にして飲みます。
生活魔法で火は誰でも何処でも用意出来ますから、田舎でも白湯にして水を飲むのは問題がありません。
ですが、この場合、白湯でとは言い出せず。
結局、飲むことに。
幸いイッキ文化がないのが救いです。
それにしても意外に女性騎士や兵士が多い事に驚きました。
街を歩いていた時は、女性兵士は見なかったのですが、話を聞くと主に活動は教会だそうです。
特に聖女達が生活する場所は、教会の人間でさえ男性厳禁が多く。
女性騎士や兵士が警護するとの事。
街の巡回警備にも少しは女性騎士や兵士も出る事は出るようですが、主に街の女性相手の活動だそうです。普通に相手が男性でも問題があればボコるそうですけど。
ただ、当然例外もいて、アスペリナ様やルーファリア様は砦の方で第一線で活躍しているそうです。
あ、正式に騎士見習いに成ったので、さんから様に直しました。
「あ~、あそこに行ってしまったの」
私が道に迷って繁華街に行った事を話すとルーファリア様は苦笑した。
余り近づくのは推奨しない場所として教えるつもりだったそうです。
「別の意味で治安が良い場所ではあるけど、パルミアは年齢的にまだ行かない方がいいわね」
「特にその格好で行ったら、変な男に連れて行かれるかもしれないし」
「パルミア、顔が良いものね。年齢のわりに大人ポイしスタイルも」
「今日は大丈夫だったみたいだけど」
「治安が良いと言っても、あの場所でという意味ですからね。パルミアには早すぎ」
一番下っ端に成ったので、呼び捨てですが、それよりも皆様に繁華街行くの禁止されました。
例の店は、あの繁華街にありそうなので、少し困りました。
曖昧に笑いながら、話を流す。
お酒が入っているので、話を変えるのは簡単でした。
ただ・・・。
「で、そのディーくんとは良い感じなのかな?お姉さんが聞いてあげるよ~」
まさかのディーくんとの恋話。
いや、弟ですよ。本当に。
アスペリナ様も何やらニヤニヤ。
ルーファリア様なんて、パルミアには男は早い!とか、貴女どういう立ち位置なんでしょうか?
「彼氏欲し〜」
とか言っていますし。
私的には阿鼻叫喚で歓迎会という酒盛りは続いた。
「頭、痛い」
「パルミアちゃんはお酒弱いな~」
「教会で聖女様に解毒してもらったら?」
聖女の魔法に解毒があるそうで、お酒は毒扱いで解消出来るそうです。
この世界で生きて魔法に触れて使えるように成って、聖女の魔法って何なのだろうと思うように成りました。
私達が普通に使う魔法は現象です。火だろうが爆発だろうが氷でも水でも風でも現象です。でも、聖女の魔法って謎が多すぎます。
神様から貰った特別な魔法では意味が分かりません。
お酒を解毒って何ですか?
「怒られるわよ。それよりも、パルミア。出かける支度して、話しに出た教会に向かうわよ。頭痛薬用意しておくから」
「は、はい!」
アスペリナ様に言われ、頭痛を我慢しながら顔を洗いに水場に向います。
村なら、水は大量なら井戸や川を使いますが、流石は聖都。水道が完備されています。
水道の蛇口も変わりないです。
流石に外周の街には水道は完備されていない所も多いそうですが、城壁内の建物には必ず一箇所はあるそうです。
と言っても飲むのは危険なので煮沸。
でも、顔を洗うくらいなら問題はないくらいに綺麗な水です。
顔を洗い、トイレを済ませます。
トイレも水洗。
現代とは仕組みが違うようですが、清潔ですよ。
部屋に戻って、着替えを済ませ。アスペリナ様の所に戻るとアスペリナ様も着替えていた。
「今日は戻ったら浴場に行こうか」
浴場!
聞いてはいましたが、聖都には公衆浴場があるそうです。
村では夏は水浴び、冬はお湯で身体を拭く程度にしかしません。一度、魔法お湯を沸かせないかと火の魔法を何発も川沿いに作った湯船に撃ち込んでみましたが無駄でした。
仕方なく。鍋でお湯を作り髪を洗ったりして苦労しました。
あ、髪切りたいですね。
床屋はあるのでしょうか?
「駄目」
「はい?」
「せっかくそれだけ綺麗な髪を切るなんて勿体ないわ。パルミアは髪を切るの禁止ね」
理不尽ですよ。
パワハラです。
アスペリナ様は確かに髪は長いですけど、肩下程度ですし。ルーファリア様はショート。昨日お会いした女性騎士や兵士さんも短めでしたが、私は腰下迄あるのです。
「それにどちらにしても切るのは無理ね」
どちらって何が、どちらなのでしょうか?
「それよりも朝食を取りたいから、そろそろ出ましょうか」
宿舎では食事が出ないらしく。自分達で作るか、近くの食堂から出前を頼むか。食べに行くか。
砦を出て昨日宿にした食堂に向い。
朝食を食べ終わる頃には、頭痛も治まり。
教会に向かいます。
今日は馬ではなく徒歩です。
砦から教会へは、聖都最大の大通りを歩くので人も多く。様々なお店が並び、建物も立派です。
宿舎から教会迄は五キロ程。
朝から動き回る人々を見ながら教会へ。
教会に着くと広場では、聖職者の人達が掃除をしていました。それを横目に奥へ。
アスペリナ様と向かったのは、プレーニア様のお部屋。
プレーニア様から許可をもらい部屋にはいると、そこにはプレーニア様と三人の修道女の方がおりました。
「朝から済まないね。それでは時間はあるが準備に取り掛かろうか」
「はい」
プレーニア様の言葉で、三人の修道女の方が私の側に。
「パルミア様ですね。こちらへ」
突然の様付けに驚きましたが、私には頷く術しかなく。修道女の方に言われるがまま、着いてプレーニア様の部屋を後にする。
アスペリナ様を見ましたが、手を振るだけでした。
着いて直ぐに別の場所に移動に成った私は、修道女の方と共に教会の更に奥へ。
誰にも会わないまま、一つの部屋へ。
そこには半円の泉があり。
部屋を冷気が包んでいます。
まさかと思うのですけど。
「こちらで服を脱いで泉にて身を清めてもらいます」
えぇ、そうでしょうとも。
清めの泉なんて知りませんけど、拒否する選択は私には無く。
冷気漂う中で服を脱ぎ、恐る恐る泉に足をつけます。
「ピッ!」
予想通りに、冷たいです。
せめてお湯にしてくださいとも当然言えず。
泉に浸かり、浸かり、浸かり、浸かりました。
おぉ、身体が冷えて。
「ほう!」
修道女さんに頭から水を被せられ、変な声が出ます。
お風呂行きたい。
何度か水を掛けられ、震えも最高に。
「さぁ、こちらに」
ようやく上がる事を許され、泉から急いで上がりました。転ける様なお約束はしません。
泉から上がると修道女の方が直ぐに大きなタオルで私を包み、拭き始めました。
「じ、自分で」
「そのままで」
「はい」
チキンな私です。
身体を修道女さんに拭いてもらう。修道女さんは何か小さい箱を取ると、熱風が箱から出て髪を乾かし。櫛で梳かしながら、ヘア剤で光沢を出します。
ド、ドライヤーですよね。そんな魔道具あったんですね。
「こちらにお着替えください。サイズは大丈夫だと思いますが、大きくても我慢してもらえますか」
差し出された服は、修道女さん達が着ている修道服でした。
少し大きいですけど、我慢してくれと言うことで、我慢します。
下着は着てきた物、修道服に着替え。最後に黒のベールを付けて完成。
ベールは調整が効きました。
私、修道女になる気は無いのですけど。
この世界、宗教の自由は存在しません。
心の中ではどうか知らないですが、宗教自体が一つしか無いので教会一択です。
昔、聞いた話では、南方と東方には別の宗教もあるらしいですけど。根本は一緒。
聖女を中心とした宗教らしく。
選ばれた聖女が、この聖都にも来ているとか。
「おや、やはり大きかったですか」
スカートを指で引っ張りながら、プレーニア様が待つという。ドームに入ると、プレーニア様とアスペリナ様以外に多くの人が集まっていました。
私の姿を見て少しざわめきます。
「子供とは聞いていましたが」
「第二魔力期はまだでしょうに」
「プレーニア様、彼女が」
プレーニア様は小さく頷く。
「彼女が伝えていた聖女候補のパルミアさんです。パルミアさん、本日来ていただいたのは、貴女の聖女としての資質を見せて貰う為です。その為、教会の枢軸卿の数名と現在聖都にいる聖女達に来てもらいました」
聖女様方。
確かに奥に八人の修道女さんとは違う白いワンピースのような服の女性達が並んでいます。
「パルミアさん、今日はドームの真ん中に立って魔力を解放して欲しい。解放の仕方は分かるね」
魔力の解放の仕方は、魔法を使う時の基本なので私は頷く。
ドームの中央の真下に立ち。
魔力解放。