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コンビニで出会った彼

作者: 柳田健二

コンビニで働いていた頃、私は彼と出会った


仕事は失敗続きで店長によく「お前はダメだな」と怒られていた


そんな辛い状況でも私にとって唯一の救いが

常連さんからの慰めであった


毎日コンビニにやってくるスーツを着た

小太りで少し疲れたような顔のおじさん


私が辛い顔をした時はそれを察してくれているのか、いつも励ましの声をくれていた


「大丈夫かい?あの店長にいじめられてないかい?よかったら相談に乗るよ?」


この人はなんて優しいのだろう

彼が来るたびに私は元気をもらえていた


おじさんのような人に支えられるから

辛い仕事も乗り越えられるのだ


そんなある日、おじさんが会計に紛れて紙切れを私の手に忍ばせてきた


その紙切れにはおじさんの電話番号が記載されていた


私はなんだろう?と思い、その番号に電話をかけてみた


するとおじさんが息を荒くさせながら電話に出てきて


「や、やぁ…電話かけてくれたんだね

う、嬉しいよ」


と言ったので私も「どうしたんですか?」と聞いてみるとおじさんは、息を呑みながら


「じ、実は…僕ずっと君の事が気になっていて…」


と返してきたので、なんだろう?と思っているとおじさんは続けて


「ぼ、僕…実は君の事がずっと好きだったんだ…」


と言ってきて、それを聞いた私は

「えぇ?」と驚いて電話を落としてしまった


慌てて電話を拾い上げて、おじさんに「大丈夫?」と声をかけられたけど私は「大丈夫だよ」と返しながら、さっきの言葉の真意を確かめてみたら


おじさんは「恋しちゃったんだ…」と返してきて

私は、私は…


私はしばらく放心状態になった

だって、私の事を好きだなんて

そんなまだ何も絡みとかないのに

おじさんは私に恋をしてしまっていて

私の事が好きだと言ってくれて


私はどうしたらいいのだろう?

どう返事をするのが正解なのだろう?

おじさんと付き合うのって

世間的には異質なのかもしれない

もしかしたら周囲に噂が流れて

私は居場所がなくなるかも


でも、私はこんなに

人にこんなに愛されたことなんて

今まで無かったから、おじさんに好きと言われて

すごく嬉しくて……


どうしたらこの感情を抑えることができるのだろう?


悩みに悩んだ結果

気がついたら私はおじさんの告白に

YESと送ってしまっていた


私はおじさんと

お付き合いをすることにしたんだ……


それから数ヶ月私とおじさんは交際を重ね

互いに自分たちのことを知り合うことで

初めての頃よりも気軽に話せるようになっていた


「次はどこ行こっかぁおじさん?」


「そうだね、次は映画館にでも行こうか」


初めの頃は互いに緊張し

周りからも関係がバレて後ろ指をさされて

気まずい空気が続いたけど

今はお互い吹っ切れて、自分たちの恋の空間を楽しむようになった


おじさんと付き合うのって

世間ではあまり良くない風潮になってるらしい


でも私は彼といて

特に何か弊害が生じたとかは無く

むしろ心が安らぐ日々が続いている


彼と出会ってよかった


愛してるわ、おじさん♡



コンビニで出会った彼(完)

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