謎と来訪者
古代異星人文明と異星人
人類の共通認識では一万年前に居なくなった者達。
残された遺跡から現在よりも遙かに進んだ驚異的な技術が推測でき、遺跡の大きさから身長は人類と同じぐらいかやや大きいと推測されている。
しかし、その姿の記録は何処にも残っておらず長い間謎とされていた。
そしてサバーブ達の眼前に異星人が造ったとされるゲームのキャラクターが存在しているのである。
「どこからどう見ても人類にしか見えないな……。」
サバーブは受付のNPCの周りを回り無遠慮に見ていた。そんなサバーブの姿を見て連宋は疑問を投げかけた。
「同じ姿だと何か問題があるのか?」
「……と言うより同じ姿だから問題がある。」
リランドと連宋は怪訝な顔をしながらサバーブを見た。サバーブは二人に頷き掛け話を続ける。
「現在、人類が広がっている範囲は太陽系を中心に半径二百光年の範囲だ。その中で見つけられた異星人はおらず遺跡しか見つかっていない。半径二百光年内に異星人が見つけられないのはずいぶん昔に予測された事で特に大きな問題は無い。」
サバーブの話に連宋は軽く頷く。
「ああ、たしかドレなんたらの式だったか?たしか銀河系だけで通信可能な宇宙人は十種類ぐらいとか……。」
「ドレイクの方程式だな。で、当時考えられていた宇宙人の姿は様々な物があった。当然、人類の様な姿の宇宙人は存在したが人類と見分けがつかない宇宙人は無かった。」
「でも偶然人類と同じ形というのはあり得るのじゃ無いか?」
「あり得ないね。ここで思い出してもらいたいのは、地球化された惑星以外の惑星の生物はどんな生物だったか?だ。」
連宋やリランドもサバーブほどでは無いが様々な惑星を訪れた事はある。中には開発されずに手つかずのまま原生生物が生息していた惑星を訪れた事もある。
それに流彗星号で訪れた惑星の中にサバーブの言う様に見た事の無い生物がいた惑星もあった。
連宋とリランドもその事を思い出しサバーブに返事をする。
「あれだな。俺は覚えている……連宋も見ただろう?」
「あれか!流彗星号で訪れた惑星……。わしも覚えて居るぞ。」
連宋もリランドに同意し大きく頷く。その二人の姿を見たサバーブは更に質問を投げかけた。
「では、その星の生物は地球の生物と同じ姿だったか?」
「いや、わしが覚えているのは見たことの無い姿の生物だな。」
連宋はダイソンスフィアの放熱口の先にあった惑星を思い出していた。
そこに生息していたのは巨大なキノコの様な生物や空を飛ぶクラリネットの様な生物で、どれも地球の生物とは似ても似つかない生命であった。
「俺も同じだ。それに地球型惑星でも似たものはいたが似ているだけだったな。」
リランドの方は時々反物質が降る惑星を思い出しているようだ。
その惑星には通称ワイバーンと呼ばれている飛ぶ巨大な生物がいる。空を飛ぶから動物であると考えがちだがワイバーンは動物より植物に近い。やはり地球の生物とは似ても似つかない生物と言えた。
二人の答えを聞きサバーブは大きく頷く。
「そうだ。似た生物は居るが同じ生物は居ない。それが答えだ。」
「「!」」
リランドと連宋はサバーブの指摘に思わずNPCの方へ顔を向けた。
「そうか!地球と同じ生物が存在する惑星はテラフォーミングされた惑星だ!」
「わしが記憶にある同じ生物は現地惑星に地球の生物を持ち込んだ場合!」
リランドと連宋の目には受付に座る人類とそっくりな姿のNPCが何か得体の知れない不気味な物の様に映った。
「……とは言ったものの、情報を得るためにはNPCでは役に立たない。」
「そうか?NPCでも異星人のAIならそれなりの情報が得られるのでは?それこそシルビィみたいに色々な会話が可能だと思うが?」
連宋がサバーブの意見に首を傾げるが、サバーブは首を横に振る。
「いや、シルビィの実例があるからだ。確かにシルビィは様々な会話が出来る。人間と言っても差し支えない程だ。しかし、シルビィには禁則事項があっただろう?」
「禁則事項……そう言えばその禁則事項おかげでこの惑星の情報が得られなかったな。」
「ああ、だからこの惑星の情報はNPCから得る事は出来ないと考える。」
「……そうか……ではサバーブはどこから情報を得ようと考えている?」
「大丈夫だ。こうしている間にも情報はやって来る。」
力強く頷くサバーブの言葉にリランドと連宋は同じ様に首を傾けた。
「「?」」
「……お、噂をすればなんとやら……情報がやって来たぞ。」
そう言ってサバーブが入り口の方へ目を向けると入り口には中年の男が一人立っていた。
服装はこの町のNPCと同じ服装だが、その姿形はこの町のNPCとは異なりごく普通の姿をしていた。男はサバーブ達の方を見ると驚いた様な顔をしながら口を開く。
「お前さん方どこから来なすった?来訪者なんて何年ぶりだ?」




