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ステーション内部の探索

 数多の惑星を見た連宋がサバーブの方を振り返る。


「サバーブはあの惑星に移動したと考えているのか?」


「その可能性が一番高い。問題はどの様な手段で惑星に移動したかだ。流彗星号改はカーゴベイが開閉する事が出来ない様に上下から押さえ込まれて着陸艇を出す事が出来ない。同じ様に他の宇宙船も上下から押さえ込まれている。あの様子だと他の宇宙船も着陸艇は使用できないだろう。強化防護服アーマースーツも同じだろうな。」


「大気があるから宇宙空間を泳いで……と言うには距離がありすぎるな。それに大気圏突入も必要だ。リランドじゃあるまいし単身大気圏に突入出来る奴が何人もいるとは思えないが……。」


「いや俺でも宇宙服での突入は無理だぞ?最低強化防護服アーマースーツが無いと無理だ。」


「え?無理なのか?リランドなら出来ると思ったが?」


「おいおい、俺を何だと思っている……。」


「命知らずの宇宙軍海兵隊プラネットダイバー。」


 おどけた口調で話す連宋に対してリランドは大きく肩を落としため息を吐くと首を横に振る。


「それを言うなら連宋。能力を使って大気圏を飛べるのでは?荷電推進器イオノクラフトみたいに?」


「おいおい、わしを何だと思っている……。」


「無敵の電子使いエレクトロン


 今度は連宋が大きくため息を吐いた。

 リランドは星系宇宙軍海兵隊プラネットダイバーの時に何度も無謀な大気圏突入を行ったとは言えノーマルの宇宙服で突入する事はリランドにも出来ない(物理的に)。

 連宋も電子使いエレクトロンとは言え荷電推進器イオノクラフトの様に推進できるほどの力を持つ訳では無い。

 そんな冗談を言い合う連宋とリランドの隣でサバーブが腕を組み額に皺を寄せた。


「冗談はさておき、連宋、リランド、現状の疑問点は他の者達が何処に行ったかだ。」


 サバーブに疑問点を提議されリランドと連宋の二人は腕を組み考え込んだ。


「うーん、ここに来るまでの通り道か……俺には覚えが無いな。今のところ人がいた痕跡も無い。……サバーブは何故他に人がいると判断したのだ?」


「それは簡単だ。少なくとも襲撃者がいる。それに舟から漂う異臭……中は正直見たくない。その様な船に人がいるとは考えられない。」


「となると、他の船を見るしかないか……。海賊船の隣の船は?」


 ステーションの窓から連宋が隣のドックを覗く。その場所には海賊船よりも一回り大きな紡錘形の船が係留されていた。

 宇宙船は鮮やかな青色の船体に白い星マークと星の後ろに白線が三本船体の側面に描かれていた。

 その宇宙船の姿を確認した連宋がぽつりと呟いた。


「……スカイスター号じゃないか!旅客船の!」


「知っているのか連宋?」


「スカイスター号はエリュティア星系と太陽系を結ぶ小型旅客船だ。十年前に行方不明となった……こんな所に漂流していたのか……。」


 連宋の説明から過去の記憶を思い起こしたのかリランドが声を上げる。


「あー!あれか!当時イラメカに撃沈されてとか色々言われていたかな?たしか乗客二十人の船だったと思うぞ、サバーブ。」


「二十人か……乗組員を含めると三十人ぐらいか。それだけの人数が乗っていたのなら何かが判るかもしれない。」



 三人は生き残りの手がかりを求めてスカイスター号やスカイスター号の付近の探索を始める。だが、サバーブの予想に反して何の手がかりも得る事は出来なかった。

 いや、スカイスター号だけではない。

 他にも何隻か係留されている宇宙船を探索したがやはり何も見つける事が出来なかった。


 一通り探索したサバーブ達三人は流彗星号改へ繋がるボーディングブリッジの出口近くに腰を下ろす。

 連宋が端末によるデーターの確認を始めるとサバーブとリランドは宇宙服のヘルメットを撮りほっと一息ついた。


「……やれやれ、これだけ探索しても手がかり無しだとは……。一体どうなっているんだ?」


「全くだ、どの船もがらんと静まりかえっているか異臭がするかの二つ。……こうなると異臭の船自体を調べる必要があるのかもな……。」


 サバーブ達三人は異臭のする船の内部には入っていない。船が係留されて時間が経っていると考えられるので入るまでも無く生存者はいないと考えらたからだ。

 端末を確認していた連宋が口を開く。


「せめて船の動力が生きていれば船内カメラを使えるのだけどね。」


「全くだ。だがしかし……。」


 リランドは両手を広げ着ている宇宙服を見廻す。


「なぁサバーブ、宇宙服は着ておく必要があるのか?」


「不足の事態を避ける為に着ておくのは基本だろう。宇宙軍教育機関でも習っただろう。」


「確かにそうなんだけどね。流石に暑いかなと……それに動きが悪くなるし。」


「ステーションの外側にも空気があるから大丈夫だとは思うが……。」


「平気、平気。いざとなれば素早く流彗星号に駆け込めば良いのさ。」


 リランドはそう言いながら素早く宇宙服を脱いだ。

 するとリランドの目の前の空中に光る矢印が浮かび上がりステーション内に音声が響き渡る。


<ようこそ、リゾート惑星群ビッグエアへ!当ステーションはお客様を歓迎いたします。>

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