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一、いざ、出陣
一、いざ、出陣
夏休み、最大のイベントの日の朝が来た。
後頭部が、人一倍長い色白の少年毛矢占羊史中学二年生は、六時一四分に、目を覚ました。待ちに待ったゲームソフトの発売日だからだ。
「今日は、“パロって、フニー”の発売日だ!」と、跳びおきた。そして、早々と着替を済ますなり、豚の貯金箱を、枕元へ置いた。程無くして、仰向けに倒れるなり、頭の重みを活用した“頭突き”で、叩き割った。(※良い子は、絶対に、真似をしないで下さい。) 少しして、起き上がるなり、破片を除けながら、お年玉と月々の小遣いからやり繰りした紙幣と硬貨をナイロン製の折り畳み財布へ詰め込んだ。そして、「八八四〇円、ばっちりだ…」と、口にした。全ては、今日の為だからだ。間も無く、「いざ、出陣!」と、部屋を出て行くのだった。