1-4:本当に女神か?
「アズマ、あんたのせいで追い出されたじゃない」
主にお前の奇声のせいだろう。と、正論パンチをしても火に油を注ぐだけなので黙っておく。
「それよりも、お前、俺じゃなければとか言ってたよな。
つまりこの入れ替わった原因がお前にあると見ていいか?」
「な、なによ。あたしが悪いって言いたい訳?」
「かもしれない。だ。
お前が何か知っているなら情報が欲しい。俺もお前も自分の身体が一番だろう?」
「ふん。偉そうに。あんたが……その……そう!勇者パーティーの一員だからよ!」
「俺が勇者パーティーの一員だからって、どうして自称女神と額をぶつけ合って精神が入れ替わらなきゃならんのだ」
「勇者はパパ…ゼオス神の加護を受けているわよね。
ゼオス神の加護は特殊で、その加護の近くに長くいる人も、多少は影響がでるのよ……多分。
だからゼオス神の娘であり女神であるあたしと入れ替わることができたの!感謝なさい!」
なんで肝心な部分が曖昧なんだよ。まぁ自称女神がそう言うならそうなのかもな。
「お前に感謝するくらいならお天道様に感謝する。それで入れ替わった推測はそれでいいとして、戻る方法は?」
「戻る……方法?」
自称エウロスは大きく首を傾げた。
「おい、なんでその単語を知らないように聞き返す。まさか戻る方法を知らないのか!?」
「あぁっ・・・」
「女神と自称しているのに、解決策が分からないって言うのか!今まで俺を見下して卑下して豪語してきたのに、戻る方法の一つも思いつかないのか!?」
「うっ!」
「マンボの出だしの練習していないで何とか言ったらどうなんだ!?腐っても女神なんだろ!」
「うるさーい!うるさいうるさいうるさーい!
言葉のパワー爆発させて真剣でめっためたに斬ってくるの止めてくれますぅ!?
あたしだってこんな事になるのが予想外で想定外で予定外ですぅ!
だったらあんたは何でも知っているんですかぁ?知らないよね?知りませんよね!?
女神だって全知全能じゃありませーん。あたしは風と豊穣を司る女神なんですぅ。
どうせ知らないんでしょ!知らないって言って!知らないわよね!
はいっ!!!あんた不勉強で不敬罪!あたしを責める権利剥奪ぅ!ばーかばーか」
目に涙を溜めて反論してきたが、なんかこいつに反論するのが可哀想になってきた。
そもそも論じているか、これ?
「それに何よ何よ!自称女神って!あたしが本当に女神エウロスだってところを見せてあげるわよ!この街に竜巻でも起こして見せるわ!その綺麗なあたしの瞳でしっかりと目に焼きつけなさいな!」
自棄になったか突然天高く右手をあげる。今の今まで奇声を上げていたので人だかりが出来始めていた。
まぁどうせできないんだろう。と、高を括っていたが、俺の右手に風の渦が集まり始めた。そしてその風の渦は次第に大きくなり、自称エウロスを中心にして大きくなっていく。
これは、もしかして、本物なのか?だとしたらこいつ街中で竜巻を本当に起こすつもりか!
「おいやめ」
「あ」
静止させようとした時、その一言を発声させた瞬間に自称エウロスがピタリと動きを止めた。そして風の渦は弾け飛んだ後に、いきなりその場で倒れた。
「おいおいおい!大丈夫か!」
いきなりそのままの体勢で前に倒れたので心配して駆け寄る。
俺の体のだから目立った怪我はしていなかった。
「よし、大丈夫だな」
「な、何をもって指確認でヨシって言ってるのよ……」
「俺がお前がいきなり地面に倒れる趣味だからって軽蔑はしないが、俺の身体で奇行はやめて欲しいな」
「ち、違うわよ。動けないのよ」
「どういうことだ?」
「お、乙女の口からは言えないわ」
そう言うとエウロスの腹がとても大きく鳴った。
「力を使ったせいよ……これは自然の摂理よ……恥ではないわ………」
自称エウロスが顔を赤らめて恥ずかしそうに顔を両手で隠した。
あぁそういえば俺、昨日は何も食べてなかったな。
だから普通の、普通か?まぁ普通の人の感覚では動けなくなる程の体力だったのだろう。
なんにせよ俺の姿で素を出すのをやめてもらおう。
「お前がエウロスだと信じるよ。とりあえず、飯屋行くか。ほら、立て」
「一歩も動けないし、立ち上がる体力も残ってないわ」
「………」
肩を貸してエウロスを引きずりながら、体力と気力をつけに、行きつけの店へと向かうのであった。
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