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3-7:ヒントママと問いかけ

「ごめんねぇリーベちゃんアズマさんの事になるとすぐ頭に血が昇っちゃうの」


 イマテラスさんがリーベの背中が見えなくなったところで俺に謝った。


「追いかけなくていいんですか?」


「うーん。ちょっと時間が経ってからの方がいいかな」


 イマテラスさんは困ったような仕草でそう言った。確かに機嫌が悪い時のリーベは放っておく方が一番だったな。同じような状況でユウヒに言われて直ぐに追った時はリーベにめちゃくちゃ怒られたしな。


「イマテラスさんは今お暇になったですよ?」


「そうね。どこかでお茶して時間を潰そうかしら」


「だったらだったら!私達とこのクエストに行きませんかですよ!?」


 クエピーはクエストボードに貼ってある、ヒントママのクエストを指さす。


「おいクエピー、イマテラスさんに迷惑だろ。仮にもヒントママはABのクエストだぞ。おいそれと誘っていい奴じゃない」


 何度も言うが、Bを超えると命の危機に陥る場面がある。初対面の人間をホイホイと誘っていいクエストレベルではない。


「あらあら心配してくれるの?エウロスちゃんは優しいのね。でも大丈夫よお姉ちゃんはSランクだから」


「え、Sランクですよ!?」


 クエピーが驚いている。俺も顔には出していないが内心驚いている。

 だってSランク保持している人間なんて滅多にいないし、いたらいたで噂になり名前まで上がってくるはずだ。俺はイマテラスなんて聞いたこともないんだけども、外から来た人なのか?


「本当ですよ?イマテラスなんて名前を聞いたことないですですよ?」


「これはお姉ちゃんとの秘密ね」


 イマテラスさんはギルドカードを俺達に周りに見られないように見せてくれる。ギルドカードに登録されている名前がオネイ•チャン。

 偽名?イマテラスが偽名?どっちだ?ギルドカードは偽名なんて登録できない仕様のはずだけど。


「オネイって、あの魔導狂戦士のですよ!?」


 誰も本人の姿を見たことのない魔導狂戦士オネイ。

 魔導を使いながら、戦士のようにモンスターを討伐していく珍しい職業で、一説によれば一心不乱に戦っているので、本人は覚えてないとか何とか。


 誰も見たことがないのに、なぜ一説があるのか……不思議だな。


「しーっ。今はイマお姉ちゃんって呼んでね」


「了解ですですよ!?イマお姉ちゃん!」


「きゃー!クエピーちゃん!お姉ちゃん感激!よしよししちゃう!」


 と、二人で和やかな空間を作り出しているが、イマテラスさんの目がクエピーが珍しいモンスターに出会った時のそれなのだが……。俺はお姉ちゃんと呼ぶのはやめておこう。


「それで、結局行くんですか?」


「一緒に行ってもいいの?」


「そちらが良ければ」


「じゃあ行きたいわ!」


「わーいヒントママに会えますですよ!」


 両者とも目の輝きが目的を達成できた悦びに満ちている。Sランクとはいえこの人もなんだか不安でしかないが、あのリーベと一緒にクエストに行くのだ。クエピー程逸脱した人ではないだろう。



 智略猿武ヒントママはウッソウの森に住んでいる猿型のモンスター。

 害意を持ったモンスターではないのだが、森内で出会った人間にクイズやナゾナゾを問いかけてくる。

 この問いかけに不正解すると、森内からでられなくなる魔導をかけられる。正解すれば賞品として何かが貰える。その商品の中にヒントママの尻尾があるので問いかけに答えなければいけない。


 問いかけでの依頼ならABだが、武力行使の討伐だとAAAになる。お互いに敵意がなければ戦いに発展することはない。


 ウッソウの森はヒレェ草原の奥にあり、ヒントママも特定の場所にいるので、数時間で帰ってこれる。


「お姉ちゃん、ヒントママを討伐したことないのだけど、どうやって討伐するの?」


「今回は討伐じゃなくて尻尾の納品なんで、討伐とか考えないで行きましょう」


「そうなの?尻尾は切るのかな?」


「いえヒントママの問いかけに答えて、一定確率でもらえる賞品の中に尻尾があるので、基本的には問いかけに正解するだけですね」


「へぇエウロスちゃん物知りね。お姉ちゃん尊敬しちゃう」


 語尾にハートをつけていそうな言い方で褒められて、何故か寒気がする。


 ウッソウの森に入ってからクエピーは静かで、小さな本を読んみながら俺たちの後ろから付いてきていた。


「クエピーちゃんは何を読んでいるの?」


「これですか?これはヒントママの出題される問題が載った本ですですよ。これで出題された時にすぐさま答えられるですよ」


「お勉強してるの!えら〜い!」


「えへへ、それ程でも」


 イマテラスがクエピーの頭を撫でて、クエピーもご満悦の様子。この二人の相性はいいのかな?


 ヒントママの出す問いかけは、自らの記憶力に頼らなければならない。問題を出されてから、本や何かで調べようものなら、ヒントママとの戦闘になる。


 森の中を暫く歩いて、クエスト文に記されていたヒントママの生息地に足を踏み入れると。


「鍋は鍋でも食えない鍋ってなーんだ」


 軽快な音と共にそんな快活な声が聞こえてきた。どうやら既にヒントママの問いかけは始まっているらしい。

 さぁヒントママの尻尾を貰う為に答えてやるか。

「面白い!」「続きが気になる~」と感じ、お思いになられたら、


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