3-4:機甲妖精討伐
「やるって言ったって、どうするのよ」
「俺が前で攻撃を引きつけるから、クエピーが援護してくれ」
「あたしは何をするのかしら?」
「お前はここで、もしも一般人が入ってきたり、伏兵としているかもしれないモンスターを警戒でもしてろ」
「なんか投げやりだけど、分かったわ」
モンスターも人も来ないだろう。こいつを戦闘に出してまた被害を出すのだけは、それだけは避けたい。
「あの、アズマさんに指示したこと、全部ぷーちんができますが、いいんですです?」
この短時間でエウロスの性格を見抜いたか、エウロスに聞かれないように小声でクエピーが話しかけてきた。
「あぁ、あいつは加減を知らないから後方待機がお似合いだ。クエピー、ぷーちん無しで援護は出来るんだよな?」
「はいですよ。テイマーですが、私自身も戦えますので、エウロスさんの動きに合わせて援護できますです」
そんな高等なカバーする動きができると言うなら任せてみるか。
「じゃあ任せたぞクエピー」
「任されましたですよ」
直前まで気づかれないように身を低くして駆け出す。草葉のすれる音を最小限で、気配を消しても、アーマードロアは頭部部分に搭載されたマナアイで直ぐに察知してくる。
「デストロイ」
発音の良い破滅的単語を呟いて、こちらを振り向いて、手に持っているマナブラスターを構える。ピュンと青白い発光する球が発射される。
この球は高熱で生半可の剣で受けると剣が溶けるし、弓矢よりも弾着速度が速いので、受けるのさえ難しい。
だが俺にはさほど難しくない話だった。
下手に持っていた剣で球を弾いてしまう。
「うぇえ!エウロスさん弾きましたよ!人間業じゃないですですよ!」
マナブラスターで狙われる部分は頭胸脚なので、マナブラスターを構えているところをよく見て、マナブラスターの発光が最大限になった瞬間と同時に剣で弾くだけ。初見だと難しいが、二回目ならできる。
高熱だろうが俺の持ってる剣は高熱の上、光熱耐性がついているので無意味。
エウロスの身体だから今までよりも反応速度が遅いと予測して、早く切り込んでどんぴしゃだったので、やはりたった数週間では本来の力に至ることはないらしい。
アーマードロアは弾かれても慌てることはなく冷静に次弾を発射する。
それも弾いて距離を詰めていく。
間合いまで行けばこの剣で一刀両断出来るはずだ。マナシールドで防がれたとしても、そのまま切れる。
アーマードロアが次の手に出る。
足裏から何か機械じみた機構が出てきて、その機構が地に刺さり、空中に浮いた状態から、地に足つけた状態になる。俺からは背中の影になって見えないが、腰あたりからも一本何かがでて、地に刺さっていることだろう。
背中のバーニアが音を立てて変形し、肩にまで移動する。これは予想外だな。
「何あれ!?男の子ってあぁいうのが好きなんでしょ!でしょ!!!」
そう言うエウロスが一番興奮していた。
「あれはマナハイブラスターですですよ!」
「何か知っているの!クエピー!」
「はいですよ!アーマードロアには階級があって、階級ごとに装備が違ったりしますです。基本的に徘徊しているのは兵卒で、あのマナハイブラスターを持つのが伍長でありますですですよ!」
「つまり!?」
「強いですですよ!!!」
二人で変な空間を作りながら説明してくれた。
流石にマナハイブラスターを弾く膂力はエウロスの身体にはないだろう。
ピンク色の粒子の集まりがマナハイブラスターに集まってくる。
まずい。と、目を背けようとしたが、時既に遅く、その瞬間頭の中にあの女の姿が現れる。
魅惑的で官能的な仕草で俺へと投げキッスを仕掛けてくる。
くっ、エウロスの身体になってから週一で現れるくらいだったが、ピンク色のものを見ると否応が無しに出てくる。
おかげで集中力が削がれて避ける動作が遅れてしまった。
「やべっ」
マナハイブラスターが発射されて、高熱と凄まじい威力で草原の地面を焼き抉った。それ程までの破壊力のある高エネルギーの塊を。
「ぐっ、ふっ……」
俺を庇うように前に立ってクエピーが直で受けた。
「クエピー!」
「行くですよ……討伐するです……よ」
見ると無惨な焼け焦げた容姿でそう言うと事切れてしまった。気絶だよな?そうだよな?
クエピーに助けてもらったので、体勢を整えて突撃する。
マナハイブラスターを撃った場合排熱のせいでバーニアが一時的使えなくなるので、移動ができなくなる。マナハイブラスターは正に一撃必殺の技だ。
だが後の事を考えられず、相手の力量も考えないと、何もできなくなるので、このアーマードロアは自分よりも強い相手との戦闘経験が無いことが分かる。
逃げられないアーマードロアは残弾がマナブラスターを撃つが、それはもう見切っているし、あの女も消えたので俺にダメージを与えることはできなかった。
剣を上から下へとアーマードロアに振り下ろす。
「デストロイ」
中から精霊の成れの果てである、ドロドロとして、ラメが混じった液体が流れ落ちてアーマードロアは機能を停止させた。
アーマードロアとの戦闘で、負傷者一名を出して討伐した。
「面白い!」「続きが気になる~」と感じ、お思いになられたら、
広告下の【☆☆☆☆☆】で評価やブックマークで応援していただけますと力になります!
I need more power!!!!




