表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/55

2-8:討伐開始

 祈り鬼シマスの討伐のために俺達はヴェルサスの街を出て、ギルドから借り出された馬車に乗り、シマスの生息地とされている場所。アリフレータ森林にやってきていた。


「ここがアリフレータ森林ね!よぉし!討伐するわよ!」


 馬車の中で涎を垂らして寝ていたエウロスが、目覚ましついでにえいえいおーと掛け声よく腕を振り上げた。


「何でそんなにやる気なんだよ」


「そりゃそうよ。だって許せないじゃない!?」


 何やらお怒りの様子。確かにマガツヒさんの個人的な趣味に巻き込まれるのは遺憾であるな。

 エウロスも自分のためじゃなく、人のために怒れるようになったか。この二週間で成長したようだな。


「あたしを差し置いてモンスターという下等な分際で祈られ祀られているなんて!」


 何も成長していないな。結局こいつは自分の事しか考えていない。

 こいつの考えを変える事ができないのか……いや、諦めるな。こいつにこの世界の常識を叩き込めばまだ光はある。物理的に叩き込んでやるか。


「今となってはお前が崇め奉られるのが想像できないがな」


「はぁー?あんた言ったわね!絶対天界に帰ったら目に物見せてやるんだから!」


「はいはい。期待してるよ。それで、意気込んでいるのはいいのだけど、お前は剣を振ったことがあるのか?」


 唯一俺の資産である刀剣は俺が腰に携えているが、エウロスの力量だと重くて仕方なかった。


 そしてエウロスは街で武器も何も買わずに、持っていると言えば色々と討伐に必要な物を詰めた荷物である。


「ないわ!そんな野蛮なものもお箸さえ持ったこともないわ!」


 筋金入りの箱入り女神宣言は予想通りだった。エウロスの身体なので、シマスとの戦闘になれば絶対に自分だけしか守れない。エウロスに加担してやれることはないだろう。


「ハッキリ言っておくが、俺はお前を守ることはできないぞ」


「え!何でよ!あんた仮にも勇者パーティーの一員でしょ!」


 どうやら守ってもらうつもりだったようだ。先に言っておいてよかった。


「お前の身体だし、ウテナの呪いも解けたわけじゃないからな。元々の俺の六割減くらいの実力だな」


「そ、そうなの……じゃ、じゃあたしがあんたを守ってあげるわよ!あたしの力は伊達じゃないわよ!時には嵐を起こし試練を与え!時には大地を芽吹かし慈愛を与える!それがあたし女神エウロスよ!」


「ちゃんと制御できるようになったんだろうな」


「えぇ!任せなさいな!身体が定着してきたから、暴発はしないわ!」


 ドンと胸板を叩いて胸を張る。何を根拠に何処からそんな自信が湧くのかは甚だ理解できない。


「じゃあお互いの力量を理解したところで、シマスの討伐手順をおさらいするぞ」


 ここに来るまでにシマスの討伐手順を話したが、忘れていそうなのでもう一度言っておく。


「まずシマスはこの森林のどこかにいる。それを見つけ出すには、まず低級なモンスターを尾行する必要がある。尾行し、シマスの元まで行き、シマスを発見次第、シマスを捕獲する。捕獲したら周りにいる低級モンスターが襲いかかってくるので根絶する勢いで倒す。そして捕獲したシマスを森林の出口で討伐する。これが討伐の流れになる」


 その場でシマスを討伐してしまうと、怒り狂ったモンスター達が人里に被害を及ぼす可能性があり、どのモンスターの目にも届かない場所で討伐しないといけない。


「理解したか?」


 真剣味を帯びた顔で聞いていたエウロスに問う。


「当たり前よ。絶対に奉られる座から下ろしてやるわ!」


 自分以外が目立つのはどうしても許せないらしい。本当に目立ちたがり屋というか、かまってちゃんというか。何にせよ俺とは性格が反対なのは分かる。


「よし。じゃあ行くぞ」


「討伐開始よ!」


 アリフレータ森林へと入り、シマス討伐が始まったのだった。

「面白い!」「続きが気になる~」と感じ、お思いになられたら、



広告下の【☆☆☆☆☆】で評価やブックマークで応援していただけますと力になります!




I need more power!!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ