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2-3:ギルドカード

「ギルドカードを作りたいんですけど」


「ギルドカード制作ですね。ではこちらの用紙の要項にご記入ください。ご記入できましたら再度こちらへご提出くださいませ」


 渡された用紙とペンを手にして、エントランスにある椅子へと座って、用紙に記入する。


 まずは名前。エウロスと。


 次に生年月日。あいつ神だから年齢相当いっているんじゃないのか?精神年齢は低そうだが、同い年くらいにしておいてやるか。17歳と。


 所持している加護。エウロス神。

 待てよ。身体はエウロスだが、加護が入れ替わっているはずだ。ここはオネイロウスとエレスと書くべきだろうか。だがそれでは俺の精神が中に入っていると疑われる可能性がある。しかし嘘を書くのも気が引ける。


 考えた結果、そのままエウロス神と書いておいた。


 自己PRポイント。あいつの自己PRポイントって何だ?文句だけは一丁前か?顔が良くて実家が太いとか?駄目だ、こういう用紙に書く内容ではない。


 考えてみるとまだ出会って一日なのに、あいつの事を書けるわけがなかった。


 良い面ではなく、悪い面しか見ていないのが問題なのだろうけども。


 一度受けた依頼は絶対にこなします。と。


 これもあいつを真人間。真神にするための愛の鞭ってやつだな。


 微妙に嘘偽りを記入しながら、白紙はなしで書き終えた。その書き終えた用紙を持って再度受付へと向かう。


「……はい!承りました。制作に少々三十分程お時間を頂きますので、この1000ゼン分の引換券をお使い、隣接しているカフェでお待ちください」


 用紙と引き換えに引換券を渡されて、エントランスから隣の建物に繋がっている扉を潜ってカフェへと移動する。


 朝ごはんはここで済ましておくか。


 適当なブレッドとコーヒーを頼んで優雅な朝ご飯を食べる。あいつも今頃配給の朝ご飯食べているんだろうな。エウロスを思いつつ程よい温度のコーヒーを飲み干す。


 そろそろ時間だろうと、受付へ戻った。


「はい。エウロス様。こちらギルドカードになります。それと、この魔導球に触れていただいてもよろしいですか?」


 差し出された魔導球に触れると、無色透明で世界を反射させていた魔導球は赤く輝いた。


「今、お触れになりました魔導球に現在のエウロス様のデータが記録されましたので、ギルドカードを紛失された場合は手数料がかかりますが、再発行することができますので、ギルドにお越しください」


 ギルドへの入会もギルドカードの発行も簡単にできるが、再発行や退会には手数料がかかる。この街に住んでいてギルドに入会していない人は少ないし、利便性を考えると退会する意味がない。ギルド抗議団体でもなければ、ギルド中心に回っているこの街でギルドに入っていないのは白い目で見られかねない。


 ギルドカードも作り終えたことだし、早速クエストを受注しようかと思う。


「今俺ができるクエストってあります?」


「はい!エウロス様ができるクエストとなりますと、こちらになりますね」


 クエストボードに貼ってあるクエストを見にいっても良いが、ボードに貼ってあるのは臨時のばかりで難易度が高い。こうして受付で聞いた方が確実性のあるクエストを回してくれる。


 ギルドカードを専用の魔導具へと読み込ませてから、受付嬢が提示してくれたクエストは魔王幹部の根城への征伐。古代兵器人エクスカイザーの無力化。罪の獣の亡霊ウェカピポの駆除。どれもこれもSランク以上の貢献度を持った人間が受けられるクエストだった。


「これ、ランクと見合ってないですか?」


「あ、あれ?おかしいですね。誤作動でしょうか?」


 受付嬢は試しに自分のギルドカードを読み込んでみると、正常に表示された。もう一度俺のギルドカードを入れると、やはり変わらずに見合わない高ランクのクエストが表示される。


 受付嬢は隣の受付へと足を運んで魔導具にギルドカードを入れてみるも、隣の受付嬢とお互いに首を傾げているあたり何も変わらなかったのだろう。


「えーっと、申し訳ありません。魔導具の不調により、クエストボードからの受注でもよろしいでしょうか?」


「え、ええ。一応確認ですけど、俺、じゃない。あたしのランクってFですよね?」


「は、はい。ギルドカード作成時は例外なくFランクからのスタートとなっています。この事は上に報告しますので、後日またおこしください」


「分かりました」


 仕方がないのでクエストボードへと向かって、Fランクでもできるクエストを探す。Fランクとなると、派手な討伐任務はなく、山菜集めとか、収穫の手伝いや、小売店の販売員とかしかない。


 小売店の販売員でもしとくか。この身体、見た目だけは、見た目だけはいいしな。


 クエストボードからクエスト依頼を剥がして受付へと持っていって受理してもらう。後は依頼の場所へと行って熟すだけだ。

 

「面白い!」「続きが気になる~」と感じ、お思いになられたら、



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I need more power!!!!

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