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令嬢たちのおはなし

婚約破棄された令嬢は夢を叶える ~父親のはなし~

作者: alma

父親目線です。


(※納得がいかなかった所や誤字脱字など色々直しました)

誤字脱字の報告ありがとうございます!

妻は神だった。


いや、神の如き強さを持つ武人だった。


だからだろうか、貴族だった私と結婚し子供を産んだ後、武人の血に抗えず闘いの場へと行ってしまった。


妹の方は、私に似たのだろう、順調に貴族の娘として育っていった。しかし姉は、母親に似てしまった。


幼少期、ドレスを着せれば何があったのか破れて帰り、アクセサリーは木っ端微塵となっていた。壁はよく壊れ、庭は穴だらけだ。


しかし、私はどちらの娘にも貴族として幸せになってほしかった。


そんな彼女を貴族として落ち着かせるべく友人の子供と婚約させた。


それが功を奏したのか、彼女は貴族としての立ち振る舞いを学び始めた。


だが、いつからか綻びが見え始めた。娘の心は壊れそうになっていた。壊れなかったのは、妹のマリナが時折遠出と称して姉を連れ出し、ストレスを発散させていたからだと後から知らされた。


それから彼女の周りは武術に通じる者たちで固めた。


カリサはあらゆる武術を極めていたが、病に倒れた夫の為に金銭に困っていた事を聞きつけ、我が家に招待した。


マドックは、料理から素晴らしき肉体美を作る、という信念の元切磋琢磨していたが、あまりにも突き詰め過ぎて人間関係を拗らせ料亭を追い出されたところをスカウトした。


他にも様々なプロを雇い入れた。その甲斐もあり、娘は武人として逞しく育っていった。


いや、まぁうん、貴族としても育ってくれたけどね。


娘は時折遠くを見るようにぼうっとする事が増えた。


どこからか妻の話を聞き、会いたい、と思うようになったようだ。と侍女から聞かされた。


血は抗えないのだな……。


妻と出会ったのは領地の査察に赴いていた時だった。


妻は重傷を負い川で倒れていた。しかしその手には、世界最強の種族である竜の大きな牙を手にしていた。


竜を倒したとなれば、国の一大事だ。彼らとは不可侵条約で結ばれている。このまま町の病院に連れて行くのは危険と判断し、連れて帰る事にした。


そして彼女を介抱している内に、お互いに惹かれあっていった。


妻はある山で修行していた。そこは普通の人が入れば即死してしまう程危険に満ち溢れ、そして龍の栖でもある山、デスマウンテン。頂上に辿り着いた妻は、竜達と戦い手懐けた後そこに闘技場を作った。竜達があまりにも強く、戦うのがとても楽しかったらしい。


不可侵条約は!?と思ったのだが、竜達は彼女と戦うのは遊びの範疇だったらしい。


妻は闘技場で竜達やごく稀に訪れる武者と戦う日々を過ごしていたが、ある日一体の竜が暴れ出した。ちなみに暴れた理由は好きな子に振られたから、となんとも残念な理由だった。竜達の中でも強い個体であった為、妻と激戦を繰り広げた後倒された。


反省を込めて牙を一本折った妻は、気が抜けて石に躓いた。そこはデスマウンテン、恐らく意志の持った石だったんだろう、彼女の隙を逃さなかった。そして不幸な事に戦いの場は崖だった。彼女は転落し川に落ち、今に至る。


貴族としては駄目なのだろう。だけれど、彼女達の心を優先してしまった。


お前にばかり苦労を掛けてしまうな、と妹の方へ申し訳なく声を掛ければ、寧ろ貴族社会の女性陣と戦うことが出来るなんて最高です!と瞳をギンギンに輝かせて言われた。


我が家の女性たちはなんと逞しき事か、父はとても嬉しいです。


マリナは、姉に何のしがらみも無く旅立たせる為に悪役を演じますと私に告げた。


それは如何なものかと止めようとしたら、「お父様は手出し無用です、どうか私に任せてください」と真剣な顔で頼まれれば、私は思わず頷いてしまった。


領地の視察にと屋敷に定期的に滞在していた婚約者のロイス君も、マリナに協力する事を決めたようだ。


あれよあれよという間にロイス君はマリナの婚約者となり、姉の方は旅立つ事となった。


妹の手腕は確かなものだった。姉大好きオーラが若干滲み出ていた気がしないでもないが、悪役としての振る舞いは自然であった。


だがマリナよ、姉は気付いていたと思うぞ。


そして娘は旅立つ。妻のいる闘技場へ。


うーーーん、でもやっぱり強くても心配だよ。だってあの闘技場の場所、デスマウンテンだよ!?死なないだろうけど怪我とか色々不安になるよ!幾ら娘の気持ちを大事にしたいと思っても止めればよかったかなぁ大丈夫かなぁ。あと妻に会いに行くの羨ましいぞ。僕だって会いたいんだからな。時々伝書竜が来て手紙が届くけどやっぱり会いたいよ!ていうか伝書竜って!そんな扱いしていいの!?あと僕が色々口出ししたら台無しになるから何にも言わなかったけどさ、マリナももっとお姉ちゃんと話した方がいいと思うんだよね!


もう本当僕の妻も娘も逞しすぎるんだから!


と涙堪えながら一人ぼやいていたら、扉が少し開いており、憐れむような眼をしたロイス君が佇んでいた。

妹の方にもちゃんと武人の精神は受け継がれていた!

婚約者の名前、ここで登場。ロイス君です。

ロイス君は実は五人兄弟の二男。兄弟仲は良好。

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