狼戦1
森の中を進み始めてから5時間ほどが過ぎた。
正確な時間はわからないけど多分それくらい。
周囲は既に暗くなっていて本当に全然見えない。
月っぽい謎の衛星も出てるけどその光は木の枝で遮られる。
この紫の木ただでさえデカいのに葉っぱの数がクソ多い。
そのせいでただでさえ暗い森が余計に暗く感じてしまうのも仕方ないだろう。
暗いというのもあってか眠いくなってきた。
さすがに地面で寝るのは危険だし木の上にでも登るか。
ちょうど良さげな太めの木があったので足で幹を掴みながらもぞもぞと登っていく。
紫の木は枝が出てる場所が円形になっていてこの木はなかなかの大きさということもあり私一匹が休むには十分の広さがある。
とりあえずステータスの確認をするか。
鑑定
種族・スモールカースキャタピラーLv2
名前・なし
HP40/40
SP50/60
MP80/80
速度25
物理攻撃力40
魔法攻撃力60(+5)
物理耐性70
魔法耐性30
スキル・闇魔法Lv2禁呪魔法Lv1呪魔法Lv3鑑定Lv5思考加速Lv2高速演算Lv1予測Lv1魔法攻撃力増大(小)Lv1毒耐性Lv1
称号《禁断の食事》同種族を食した者が得る称号
《天敵殺し》自種族の天敵を殺した者が得る称号
・進化
とりあえず闇魔法のLvが上がってたからそれを確認するべきだな。
Lv2で追加されたのは闇黒弾の強化と闇黒矢という新しい魔法の入手。
この魔法は貫通力のある魔法でMPの消費は5。
牽制によく使える感じかな。
疲労の呪いは相手のSP消費はが増加しSPが毎秒0.5ずつ減っていくという結構有能な魔法だ。
SPが減るとお腹減るし正常な判断力を鈍らせるのにも使えるかもしれない。
そういえば私って青虫なんだよな。
あのキモいやつなんですよ私。
早く進化してせめて蝶にはなりたいよね。
もしかするとクラスメイトや先生もこっちに来ているかもしれない。
そうすると他のみんなはどんな生物に生まれ変わってるんだろう?
人間だったらこの世界で新しい友達とかできてるのかな?
まあ今の体で私だよって言っても誰も信じなさそうだな。
だって友達少なかったし。
でも人型のエディノイドに進化すればコミュニケーションくらいは取れるだろう。
だから当分の目標はエディノイドへの進化と他に転生者がいるかどうかの確認、そして生き抜く強さを得る事の三つだね。
この三つは確実に達成するという決意を持ちながら、私は眠りについた。
何か物音がした気がして目がさめる。
確か木の上で寝てたんだっけ?
少し前に進み木の下を覗いてみる。
すると茂みが動いたような音がしたから聞こえた。
やっぱり何かいるみたいだ。
うーん。
暗過ぎてよく見えない。
目を凝らして見る。
でも全然見えない。
『スキル・夜目Lv1を獲得しました』
なんかゲットした。
お、多少見えるようになったぞ。
明るさ的には真っ暗の中で電池つきかけている状態でつけた小ちゃい豆電球程度。
それでも真っ暗よりはありがたい。
動いた茂みの方向を見る。
また動いた。
そうだ。
茂みに衰弱使って枯らせば見えるようになるんじゃね?
とりあえずやってみよう。
案の定といったところか魔法陣が茂みに張り付き周辺の草をどんどん枯らしていく。
すると現れたのは、あらびっくり真っ黒の狼です。
鑑定。
種族・ナイトウルフLv8
名前・なし
HP120/120
SP270/270
MP50/50
速度250
物理攻撃力120(+5)
魔法攻撃力20
物理耐性20
魔法耐性30
スキル・連携Lv4・夜目Lv5・気配察知Lv2・暗殺Lv2・消音Lv1・物理攻撃力増加(小)Lv1
称号《従う者》群れの一員に送られる称号
攻撃力蜘蛛より高いじゃん。
けど一体なら勝てない事はないと思う。
気になるのは連携と称号《従う者》。
多分これ周り囲まれてるな。
こいつだけ消音のLvが低かったから気がつけただけで群れの狼はもっと強いはず。
気づかれた事を悟ったのか鑑定した狼が遠吠えをあげる。
それと同時に木に衝撃を感じた。
幹を見ると数匹の狼が木を齧っていた。
とりあえず闇黒弾を使って狼を牽制し木の幹から引き離す。
ガツンという音がして後ろを見る。
そこには辛うじて木にへばりついている狼がいた。
頭めがけて闇黒矢を放つと矢は狼の目から脳に達したのか一撃で狼を倒した。
遠吠えが響いて周辺の音が多くなる。
かなり集まってきた。
うっそ。
パッと見て15はいるんだけど。
狼が一斉に登ってきた。
まずい。
群がられたら本当に死ぬ。
登ってきている狼の数は前が12後ろが4横が3ずつ。
ずいぶん隔たりがあるけどそれでいい。
闇黒矢で前の狼を数匹落とす。
その間に衰弱の呪いを木につけて木を枯らした。
枝の先に捕まって木の根元が見えるようにする。
闇黒弾を使い木の幹を削ると重さによって木がだんだんと倒れていく。
鈍い音と共に登っていた狼達が潰れ死ぬ。
でも数匹生き残ってるし横と後ろにいた計10匹は未だ健全だ。
闇黒矢を使って狼を牽制しながら衰弱・強奪・疲労をランダム的にかける。
このまま押し切ればいけないことはないかな。
そう思っていた時、背後に凡そ40のナイトウルフが近づいて来ているのを、私は気づいていなかった。