新山隆介13and 佐藤琢磨1
遅くなり申し訳ありません。
割と短いです。
色々終わったので少しづつ更新できるかと思います。
今更ですが、コロナにかからないように皆さんお気を付けてください。
僕達は今までにお互いに起きた出来事を話し、これからの事について話し合っていた。
正直、また彼らに会えた事が嬉しい。
『で?新山、お前はこれからどうするんだ?』
『多分このままこの国に残ることにありそうだと思う』
『じゃあ学園に行くことになるかもな。俺らと同じで』
『学園って何?』
『新山君は知らないんだよね。ま、当たり前だよね』
『学園っつうのは所謂貴族の子供が通う学校だ。俺らも一応通ってるぞ』
『楽しい?』
『んなわけないだろ。なんでファンタジー世界来てまで勉強しなきゃなんないんだよ』
『ま、小学生の内容だから簡単だけどね』
『ただなぁ、派閥争いが酷くて酷くて。普通に仲良くすればいいじゃんかって思うんだよ俺』
『貴族だから仕方ないよ』
『そうそう。そう言えば俺先日10歳になりました。さあ祝え!』
『別に10歳程度で祝う必要ないでしょ。18になったら祝ってあげてもいいわ』
『なんで18?』
『私たちが迎えられなかった年齢よ。理由はそんだけ』
『渋谷さん…』
四人全員が沈黙してしまい、居心地が悪くなったのか渋谷さんは何処かへ飛んでいってしまった。
『うーん。なんかすまん』
『どうして琢磨が謝るんだ?』
『いや、なんか変な空気にしちゃったからさ』
『そんなことよりも私由花ちゃんを連れ戻してくるね。その間、王子殿下は頑張っていて下さい』
『え?』
『ほら後ろを見ろ』
振り向くとそこには、まるで獣の様な眼をした令嬢たちが今にも詰め寄ろうとこっちを見ていた。
『では、ご愁傷様』
そう言って琢磨が逃げ出したのを僕は全力で阻止した。
琢磨の両手首を思いっきり握りその場に拘束した後、タイミングを見計らって詰め寄ってきた令嬢達に仲良く質問責めされた。
一時間だか二時間くらい時間が過ぎ去った後、僕達は会がお開きになったところでやっと解放され、彼等は自分の家に、僕は渋谷さんと一緒に師匠の元へと向かった。
師匠は謁見室に居るらしく、会場の間反対であったため行くのに時間がかかる。
その間に、渋谷さんが僕の頭に乗りながら謝ってきた。
『新山』
『何?』
『さっきは変な空気にしちゃってごめんなさい』
『え?別に大丈夫だよ』
『貴方が大丈夫でも私が大丈夫じゃないの。謝罪を受け取って』
『分かったよ』
『で、どれだけ歩くのよ』
『後20分くらいかな?』
『、、、、は?』
新山と出会ってしまった。
予想はしていたが、やっぱり彼もこの世界に来ていた。
彼がこの世界に来ている事に安堵しているのと同時に、少し残念がっている自分がいることに、俺は気付いている。
谷山は新山のことが好きだ。
飛んできたボールが当たりかけたのを助けてもらったことが発端らしい。
どこのラブコメだ、と言いたくなるが僕からすれば、これは谷山視点の乙女ゲーであるとも言える。
谷山はモテる。
まあそれは新山も同じだったが。
谷山は色んな奴の告白を断ってきた。
新山に惚れる前も後も。
期待がなかったわけではない。
俺も例に漏れず、谷山の事が、、、
「琢磨!琢磨!隆介君来てた!この世界に来てたよ!」
「ああ、そうだな」
「良かったぁ。もう会えないかと思ってた」
「良かったな」
「本っ当に良かった!楽しみが増えたよー!私と隆介君が仲良くなれば大人の事情で婚約になるかもしれないし、最悪側室にでも迎えてくれれば、、、クフフ」
「悪女め」
「あー!酷い事言った!」
「だって本当の事じゃん」
「別に悪女じゃないよ。実際に私の生家は公爵家だし竜爵家の子息とも仲がいいときた。実際に嫁にすれば王家と公爵家と竜爵家の繋がりが強くなるからいい事ずくめだよ?」
「いやまあそうだけどさあ」
そんなふうに話しているうちに、俺は王都内にある自分の屋敷についた。
「じゃあまたね」
「ああ、送ってもらって悪かった」
「別にいいよ。私達の中じゃん」
「、、そうだな」
「じゃあね」
そう言って谷山は馬車を進ませた。
空はだんだんと青みがかかり、今まであった太陽を名残惜しんでいるかのようにも見えた。
疲れた。
僕は布団に突っ伏しながら天井を見上げた。
琢磨達がこちら側に来ているというのは想定していたけどまさかこんなところで会うとは思ってもみなかった。
『学園か』
『どうしたの?』
『いやさ、そういうの久しぶりだよね』
『まあそうだけど、、ていうかあんたの妹やばくない?』
『あ、はい。それは、もう手遅れですね』
僕と渋谷さんはさっき父上と爺様と話してきた。
二人とも理解できないような顔をして、どういうことか聞いてきたけど、そんなのこっちが聞きたい。
その時兄様も盗み聞きしてたみたいで扉を勢いよく開けてめっちゃ問い詰めてきたけど、偶然なのか知らないけどメイリーネが通りかかっていきなりアレン兄さんを引っ張ってどこかに行ってしまった。
その後アレン兄さんを見てないけど何があったのかは知らないでおいたほうがいいと思う。
その後、なぜ妖精族と話せるのかという話になった。
渋谷さん曰く、妖精族の里では日本語が日常会話に使われているらしい。
これに関しては僕が一番驚いた。
でも、父上達が最も驚いていたのは、渋谷さんが人間を見定めるために『大母様』と言われる妖精族の絶対的な存在に選ばれ里を追い出されたと言うことだ。
渋谷さんに何か粗相が有れば国ごと滅ぼされる。
父上達が驚くのも無理はない。
『それで、結局妖精族は人族を滅ぼしたいのかな?』
『10年後になってみなきゃわからないわ。母様達が人を滅ぼしたいのかどうなのか。私たちでは何もできないんだから』
『それもそうだね』
それから暫くの間は部屋の中は空いた窓の外から入る風のみが我が物顔で闊歩するだけになり、気が付くと渋谷さんは枕の上でどこかの大企業の社長のように偉そうに寝ていた。
僕はそっとベットから抜け出して窓に近づき、師匠と旅をしていた格好に着替えた後、僕は光る王都の町に向かって飛び降りた。




