表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら蝶でした。  作者: おとのそうくつ
30/43

渋谷由花4 and 新山隆介7

本日3回目。



「へへへっ、妖精族がいるなんて運がいいですね」

「ああ、運よく催眠術を持っててよかったぜ」

「でもどうします?」

「あ?売るに決まってんだろ?15年前の悲劇は妖精族を使った兵器のせいでああなった。つまりそれだけヤベエ兵器だったってことさ。買いたい貴族はごまんといるだろうよ」

「そういえばここのマカクーラっつう貴族が魔物を集めてましたよね」

「ああ、まずそいつを当たってみるか」

何が起きたんだろう?

目の前が真っ暗だ。

確か森の中で人間にあって、、それで、、目眩がしたかと思うと、、、どうしちゃったんだっけ?

「止まれ!朱赤騎士団だ!」

「おっと失礼。騎士様、何かご用で?」

「馬車の中を見せろ」

「これは商売道具でして、お客様からお取り寄せを願われているものもありましてですね、、これでどうか」

「む、そうか。それは仕方ないな。行ってよし」

何を言っているのかわからない。

多分ここは人間の街の中、それで私は何かの中に入れられている、それだけはわかった。

少し動いてみる。

これは、布?

攫われちゃったのかな?

とりあえず魔法を使って逃げないと。


魔法は発動せず、足音が私に近づいてきた。

「兄貴、起きたっぽいですぜ」

「そのままにしておけ、封魔の首輪で魔法は使えん」

「へへ、そういえばそうでしたね」

ひんやりとした感覚に襲われ思わず首筋に触る。

触ろうとした

そこには鉄の輪がはめられていた。

いくら外そうとしても外せない。

どうしよう。

本当にまずい。

「着いたぜ」

「止まれそこの馬車!ここはマカクーラ子爵の屋敷であるぞ!」

「へへへ、騎士様、少しお話がありましてですね。実は子爵様に取って置きのある『ペット』が入荷しまして、、」

「ふむ、、、、入ってよし。私は子爵様にお伝えしてこよう」

「へへへ、お気遣い感謝しやす」

門が開く音と共に地面が揺れる。

どこかに入っていっている?

揺れが収まり足音が多数聞こえる。

急に空中に浮かぶような感覚に襲われ、そのままに私を包んでいる袋が揺れていく。

「その中身か?」

「へい。実はですね、、、、」

「、、、、なんと!誠か!よくやった!実物を見せてくれんか?」

「へい、どうぞ」

急に視界が明るくなり汚い薄汚れた大きな手が私をつかんだ。

いやだ、怖い。

「やめて!離して!」

映るのはどこかの屋敷と太った男。

その視線が何よりもいやだ。

「ほほう、言っていることはわからんが中々良い顔じゃないか。いくらだ?」

「金貨500程いただければと、思っていやす」

「いいだろう。おい、持ってこい」

掴む手が私を袋に放り込み視界が防がれる。

「それと注意ですが、、そいつには力がありませんが速度がありやす。鳥かごなどに入れたほうがいいかと」

「そうかそうか。貴様達にはこの街一番の宿を紹介しよう。おいバルゴ」

「っは、ご案内いたします」

袋が揺れて足音が石から布、そして石へと変わっていった。

扉が閉まる音が何度も聞こえ、そして最後にはカチャリという音が聞こえた。

袋にあの太った男の手が入ってくる。

そのままあっけなく掴まれ私は鳥かごのようなものに入れられた。

魔法は使えない。

この鎖さえ外せれば!

「離して!ここから出してよ!!!」

叫ぶけど太った男は私を気持ち悪く眺めるだけだった。

結局私は魔法も使えず鳥籠からも出れず、その日を過ごすことになった。






 偶然というものは、全くわからないものだ。

「はぁ」

「どうしました?」

「いや。師匠?この状況で疲れないの貴方だけですからね?」

「そうですか?たかが盗賊団が押し寄せてきただけでしょう?」

「その前も後も問題だらけです。ドラゴンは襲ってくるし、盗賊団とドラゴンを倒したと思ったら騎士団が盗賊と間違えて襲ってくるし、、なんか不幸を呼び寄せる魔法でも使いました?」

「そんな魔法ありませんよ。魔物を呼び寄せることができるのは錬金術士くらいですかね。銅を金に変えることはできませんが人間の街を魔物の巣に変えることならできますから」

「なにそれ怖い。じゃなくて本当に師匠じゃないんですね?この状況を作ったの」

「はい」

 僕たちは今馬車の中で、、、、、

「黙れ!この無礼者ども!斬られたいのか!」

 、、、、手足を拘束されています。

 経緯はこうだ。

 1、あまりばれたくないから馬車を乗り換える。

 ただしカラットさんは伯爵家の馬車で移動している。

 絵面からしたら伯爵家の馬車を追うボロい馬車だ。

 2、そこへドラゴンが来襲。

 カラットさんの馬車は先に行かせる。

 3、ドラゴンを撃退した後盗賊団が来襲

 4、盗賊団を撃退

 5、ドラゴンを見た騎士団がくる

 6、側から見たらドラゴンから馬車を守った冒険者たちを狙った謎の二人組

 7、王子・賢者だと主張

 8、無礼者として拘束される

 9、拘束具ぐらい力任せに引きちぎれるけど王都まで行くみたいだからおとなしく乗ってる


 なにこれ?

 絶対おかしな魔法使ったでしょこの人。

 馬車を運転するのが嫌だからって絶対変な魔法使ったでしょ。

 それくらいこの人には信用がない。

「うん?また誰かに馬鹿にされた気が、、中年にたかりますか」

 こういう所が信用できない理由だ。

「さて、いいことを教えてやる。我々は朱赤騎士団、国の雑魚騎士団とは比べものにならん強力な騎士団よ」

「私立の騎士団ですね。なるほどだからあなたの顔がわからなかったんですよ。法的に認められていないのに騎士団を名乗っているんですから一応中止するよう言われているはずなんですがね、、それであなたが不敬罪を適用したら本末転倒ですけど。自称騎士団が王子を拘束し騎士団に捕まるって愉快痛快ですね」

 師匠が耳元でなんか言った。

 確かに皮肉だけど別に不敬罪を使うつもりは無い。

「口を謹め。何を相談しているのか知らないが我々にかなうと思うなよ。貴様らは次の街、マカクーラで拘束されそのまま不敬罪で処刑台行きだ。己の罪を後悔しながら死ぬがいい」

 マカクーラ、、、鎌倉?

 いや、これも偶然のはず。

 横浜市と鎌倉市は確かに地区的には隣だけど偶然のはず。

 多分。

「そういえば騎士さん。前の馬車はどうなりました?」

 騎士と呼んだ師匠の言葉に気を良くしたのか自称騎士が答えた。

「伯爵家の馬車はそのまま行かせたぞ。残念だったな」

 良かった。

 とりあえずこの自称騎士団はカラットさんにまでは迷惑をかけていないらしい。

 カラットさんは年齢相応の精神をしているはずだし騎士にいきなり囲まれたら怖がるだろう。

 他の転生者だったらそんなことはないかもしれないけど。

 でももし戦闘訓練とかもしていない転生者だったら剣向けられたら怖いか。

 日本に住んでいた高校生なら刃物は誰だって怖いはず。

 多分。

「うーん。早く着きませんかね王都」

「だから言っただろう!貴様らはマカクーラで死ぬことになると!」

「あ、そうだ。騎士さん、質問が」

「ふん、哀れな死刑囚に答えてやろう。なんだ?」

「あと何分でマカクーラにつきますか?」

「余命を聞きたいのか?いいだろう。後2時間だ」

「わぁ、予想より遠いですね。というかこの馬車が予想より遅いですね」

「我らを愚弄するつもりか!」

「いえいえそんなつもりはないですよ」

「ふん。これ以上質問に答えるつもりは無い。大人しくしているんだな」

 そう言って自称騎士はもう喋らなかった。

 本当に師匠は何をしたいんだろう?













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ