渋谷由花3
私が森に捨てられて、5日がたった。
妖精族は飲まず食わずでも生きていける。
問題はない。
でも他のところに問題があった。
そう、魔物がいるということだ。
魔物は私を見る度に襲いかかってくる。
そこまで速くないので逃げ切れてはいるけどあんなでかい猛獣に私が勝てるわけがない。
母様は10年後に私を迎えに来ると言っていた。
そして人間を見極めてこいとも。
こんな森の中に置いてかれちゃ人間に会えないし、そもそも人間が妖精族に友好的だとも限らない。
「どうしてこんなことに。確かに私は生まれたばかりの妖精にしては強いけど何で私が、、、」
母様達の狙いはわからない。
でも、もし他に転生者がいたなら襲ってくることはないはず。
まあ私が転生者であるとわかる手段を相手が持っていればの話だけど。
「とりあえず先ずは他の転生者と会うところから始めなきゃ。それには森を出なきゃなんだけど、、出れるよね?」
全力とはいかなくてもそれなりの速度で進んでいく。
不安だ。
これ以上ないくらい、不安だ。
今まではリリーや、母様達がいた。
でも、そのまま頼れる存在達が今私にはいない。
私は今母様達の意思で動いている。
そうじゃないと、唯一の頼れる存在を失ってしまいそうだから。
でも、転生者達にあえたなら、私はもう一つの頼れる存在を得られるはず。
だから、会いたい。
会って話をしたい。
今まで何をしてきたのか、どうしたいのか。
相談したい。
考えながら、飛んでいたら、目の前に大きな木が迫っていた。
「え?っきゃ!」
木にぶつかって弾き飛ばされる。
そのままバランスを崩して地面に激突してしまった。
特に痛くない。
あんな速度でぶつかったのにもかかわらずだ。
多分、スキル『物理無効』の効果なんだろう。
わかっていたことだけどやっぱりこの世界はどこかおかしい。
だってこんなゲームみたいな設定があるんだから。
「本当に変な世界、、、え?」
ふと、後ろを見るとの上に大きな気持ち悪い何かがいた。
ドロドロの粘液で体を包んだ少し光っている巨大なトカゲのような何か。
見ただけで生理的に受け付けない。
「なに、これ?」
「グゲェェェェェェ!!!」
気持ち悪い何かが口から噴き出してくる。
思わず下がるとその何かで周辺の草が枯れていっていた。
「毒!?」
トカゲは口から紫色の粘液を垂らしながら木の上から降りてくる。
「ゲボァ!」
口から粘液の塊が飛び出してくる。
「光明盾!」
思わず光魔法・光明盾を使って塊を防いでしまった。
でも良かった。
その粘液が垂れた場所は徐々に融解していったからだ。
トカゲの情報がない。
どうにかしないと死んでしまう。
どうすればいい?
『スキル・鑑定Lv1を獲t・・・鑑定Lv4を獲得しました」
使い方がわかる。
どうすれば使えるのかがわかる。
「鑑定!」
種族・ポイズンリザードLv11
名前・無し
HP1380/1380
SP1330/1330
MP1140/1390
速度130
物理攻撃力1240
魔法攻撃力1200
物理耐性1890
魔法耐性1130
スキル・毒魔法Lv5『毒無効』射出Lv2
称号・《汚す者》毒魔法で生命を大量に殺した者が得る称号
ステータス的にも、スキル的にも勝てない相手ではない。
だったら、戦うだけ。
「光明矢!」
手から光の矢が発射されポイズンリザードの目を射抜く。
それを全く気にしていないかのようにポイズンリザードは毒の塊を吐いてくる。
「光明弾!」
光の弾丸がポイズンリザードの腹を射抜く。
大してダメージが入っていない。
「光明剣!」
自由に操れる剣を作り出してMPを注ぎ込む。
剣はだんだんと大きくなりその大きさはポイズンリザードの胴の長さを上回っていた。
剣を操りポイズンリザードの横まで移動させる。
「いけぇぇぇぇぇぇ!!!!」
剣を振り下ろしポイズンリザードの胴が割れていく。
「ゲァァァァァッッッ!!!」
体が割れたポズンリザードは力なく木の下に落ちていった。
『光妖精のLv1がLv2になりました』
『各種ステータスを強化します』
『スキル・魔法攻撃力増加(小)がLv6になりました』
『スキル・魔法攻撃力増加(小)がLv7になりました』
『スキル・飛行がLv2になりました』
勝てたのかな?
「鑑定!」
種族・光妖精Lv2
名前・レイラ
HP3300/3300
SP2700/2700
MP4000/4000
速度3400
物理攻撃力
魔法攻撃力3500(+)35
物理耐性
魔法耐性3300
スキル・光魔法Lv5『光属性無効』『物理無効』魔法攻撃力増加(小)Lv7念話Lv1飛行Lv2鑑定Lv4
称号・《転生者》転生者のみに見える称号。成長に補正と促進がある
レベルが上がっている。
これが勝った証。
精神的に疲れてるけど、進まなきゃいけない。
進まなきゃ、転生者に会えない。
私はポイズンリザードがいた場所から離れ、方向も分からない森の外へと向かっていった。
明日は投稿できないかもしれません。
善処はします。