新山隆介6
短いっす
誰も喋らない会食が続く。
ヨマカコーハ伯爵が出て行って数分したが結局伯爵が帰ってくることはなく、先に初めてようということになったのだ。
誕生日席に座らせられ料理を食べる。
軽めのものが多い。
おそらく長旅だったから気を使ってくれているのだろう。
途中で伯爵夫人も呼び出されてしまいこの場にいるのはクリスタと言われた女性、背の高い青年、僕と師匠だけとなった。
僕が丁度食事を終えたところでヨマカコーハ伯爵が帰ってきた。
だいぶ汗をかいている。
何かあったんだろう。
「お二方!緊急事態です!」
「何か起きましたか?」
「そ、それが実は今日未明下の娘が攫われかけまして、旅人が助けてくれたそうなのですが、失敗したことを理由に犯罪組織と思われる者たちが屋敷を包囲していまして、、」
なんか覚えがあるなぁ。
あの少女って伯爵の娘だったのか。
「で、私たちの協力を仰ぎに来たと?」
「そ、その通りです賢者殿」
「うーん、弟子に任せます」
「え?」
「元々種を蒔いたのは弟子ですから」
「と言うと、、殿下が娘を助けてくださったのですか!?」
「ははは、多分そうですね。相手の数はどれくらいですか?」
「2百程だと思われます」
「分かりました。行きましょう」
食堂を出てから剥製の横を通り過ぎてそのまま屋敷の玄関から外へ出る。
屋敷の門の周りには多くの賊が詰め寄っていた。
その数凡そ2百、伯爵の言った通りだ。
門で騎士と賊が戦っている。
騎士の方が戦闘力としては勝っていけどでも数で押され気味だ。
土壁を門に使い騎士と賊を分断する。
「っむ、この壁は?」
「僕の魔法です」
「君は確かカラット様を助けていただいた、、」
「こら!無礼だぞ!」
「し、失礼しました伯爵閣下。この方は?」
「アートラス王子殿下だ!貴様らも早く非礼を誤らぬか!」
「「「ご、ご無礼申し訳ありません!!」」」
四人の騎士が一斉に跪く。
こういうの苦手なんだけどなぁ。
「今は戦闘中です。頭をあげてください」
「「「「っは!」」」」
「とりあえず回復しますね」
治癒魔法・回復を使って騎士たちの傷を癒す。
「まず僕が壁を崩した後水魔法で相手の陣を壊します。そしたら皆さんは前へ進んでください。傷は僕が直します」
「「「「了解しました」」」」
水魔法・水砲の準備をする。
これは少し時間が掛かるが大きな水の弾丸を放つ魔法だ。
準備が完了し水の巨大な塊が空中に現れる。
「では、行きます!」
土壁を崩す。
すると待っていたとばかりに賊達がなだれ込んできた。
そこに水砲を打ち込むと逃げ場の無い賊達は後方に吹っ飛ばされていった。
「突貫!!」
「「「っは!!」」」
騎士が号令をかけると他の騎士達も揃って門の外に出て応戦する。
傷を負った瞬間に回復を、危なくなったら土弾が水弾で賊を気絶させていく。
その速度は圧倒的で賊は直ぐに逃げていった。
「うーん。どうして火魔法を使わなかったんですか?」
「人は殺さない主義です」
「まあ知ってましたけど。相変わらず甘い弟子ですね」
師匠はそう言って僕の頭を撫でた。
見かけは9歳だけど僕中身高校生なんだけど、、、、。
少し、いやかなり恥ずかしい。
「アートラス王子殿下。この度は娘の命だけではなく伯爵家をも救っていただき、感謝いたします。この命、この誇り、この家を殿下に捧げることを誓います」
『『『誓います』』』
なんかいきなり伯爵家の人たちが総出で出てきて一斉に跪いた。
中には助けた少女もいる。
怪我はないっぽい。
良かった。
「おやおや、一つの貴族家を味方につけましたね。いいことです」
「師匠、煽ってます?」
「はい」
「そこで肯定するのがあなたでしたね」
「殿下、つきましては図々しくもお願いがございます」
「なんですか?」
「我が娘カラットと共に、王都へ向かっていただけないでしょうか?」
助けた少女、カラットが僕の前に出てくる。
「よろしくお願いします。殿下」
顔を上げた彼女の頬は赤くなっていた。
熱でもあるのかな?
「おやおや、私そういうの見るの結構好きですよ?」
「何を?」
「知らないなら構いません。しかし私の弟子でもさすがにこの場面で断るなんてことはないですよねー」
「っう、、分かりました。お供させていただきます」
「逆ですけどね」
こうして、王都に向かう旅に新しい仲間?ができた。
師匠は伯爵家を出てからもずっとニヤニヤしていた。
なぜ?




