表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/156

番外編 ひまわり畑と成果物

 開墾地に広がるのはすばらしきひまわり畑。

 そこには、ぶんぶんと蜜蜂が飛び回っている。

 今年、初めて作った花畑での養蜂が始まった。

 家族で一から作ったひまわり畑である。感慨深いものがあった。

 思っていた以上に蜂蜜が採れて、ほくほくだ。

 ひまわりの蜂蜜は、花色に似た明るい色合いである。

 ねっとりしていて、少しだけザラッとしている。冬場は固まって、ジャリジャリになるのが特徴か。


 オススメの食べ方は、堅めのパンに塗ったり、ヨーグルトにかけたり、チーズと一緒に食べたり。

 コクがあって、甘さは濃厚。癖は少ない、おいしい蜂蜜であった。


 夏が終わり、ひまわりはたくさんの種を付ける。

 一粒一粒丁寧に採り、来年植える分は取っておく。

 それ以外の種からは、なんと油を絞るらしい。

 そういえば、なんでも屋さんでひまわり油なんてものを見かけたことがあるような、ないような。


 油の絞り方は、マクシミリニャンが教えてくれた。


「まず、種を洗う作業から始める。水に浮く種は、虫食いや破損したものなので、取り除いたほうがよい」

「了解です」


 井戸の前にマクシミリニャンと共にしゃがみ込み、ひまわりの種を洗っていく。

 きれいになったひまわりの種は、天日干しにして乾かす。

 一時間後――乾いたひまわりの種の加工が始まる。


「絞り器に入れる前に、乳鉢で種を潰すのだ」

「はい!」


 実家で余ったひまわりの種は、サッと油で揚げて男達のつまみになっていた。

 当然ながら、俺の口には入らなかった。

 どんな味がするのか。若干気になるところである。


 マクシミリニャンと共に、乳鉢でひまわりの種を潰す。量が多いので、けっこう大変だ。

 潰したひまわりの種は、煮沸消毒した布に包んで絞り器の中へ。

 ハンドルを回すと、油がでてくる。


「ぐう、ぬうう……!」

「イヴァン殿、ハンドルは硬いか?」

「か、硬い、かもしれない」


 マクシミリニャンが代わって回すと、するする回転する。

 だが、ハンドルが少し錆びていると言い、油を差した。すると、先ほどよりもなめらかに動くようになった。


 ひまわりの蜂蜜より明るい、黄色い油がじわじわでてくる。


「すごい! ひまわりの種から、こんな油がでるなんて」

「ああ。そうだな」


 今では観賞用として広まっているひまわりであったが、かつては油にするために大陸に持ち込まれたらしい。


 現在は、パーム油、菜種油が主流である。しかしながらひまわり油は臭いがなく、良質な油として今も各家庭で愛されているらしい。 


 ちなみに、酸化しやすいため、保存には注意が必要だという。


「蓋はしっかり閉めて、冷暗所でしっかり保存するように」

「はーい!」


 このひまわり油を使って、マーガリンを作るという。


「まあ、作ると言っても、バターと混ぜるだけなのだが」


 湯煎で溶かしたバターに、ひまわり油を加えて混ぜる。

 あっという間に、マーガリンの完成だ。


 できたてを、マクシミリニャンと共に味わう。

 昨日アニャが焼いてくれた、蕎麦のパンにたっぷり塗って頬張った。


「んんー! おいしい!」


 油を混ぜたバターがこんなにおいしいなんて。まさしく、罪の味である。

 食べ過ぎには注意だが、少しならば問題ないだろう。


 夏の味覚を、これでもかと味わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ