後ろの正面、だあれ?
「は~じ~め~の第一歩!?」
勢いよく駆けつけて、立ち止まる。
ふいに振り向くと、総勢10名ほどの者達が微動だにせず、まるで彫刻のように立ち聳えていた。
それは幼少の頃のお遊び。
決して動いたのがバレてはいけない。
いわば『缶蹴り』に近いだろうか。
ただ、真剣に向かい合う。
僅かな揺らぎすら見逃さないように。
「○○ちゃん。 見~つけた!」
そう言った矢先、幾重にも帯びる掌が無数に伸び、その者は即座に闇へと引き摺りこまれ、やがて姿を消していった。
子供の飯事であったならばまだマシと言えよう。
だが、真剣勝負の真っ只中なのである。
ひとり仕留めて、また壁に引っ付いた。
「は~じ~め~の……第一歩!!」
振り返ると、そこには誰もおらず、静寂だけが支配していたのであった。
「……え……、何で…………」
一人っきりで佇む子供。
遊び相手が消えたことに正直疑問を抱くしかない。
恐怖心が更に増してゆき、まさかこんなことになるとは思わず……
数えることを、辞めた。