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#31 死中活路

 アルスルさんのリボルバーには撃鉄に針のようなトゲが付いている。

 そのトゲを自分の腕に当てると、ザッと引っ掻くアルスルさん。

 当然傷痕から血が溢れるが、それが地面に滴り落ちる事はない。なぜなら、その血は全てリボルバーに吸収されるからだ。

 アルスルさんの血を得た事で、まるで生き返ったかのようにリボルバーのシリンダーが回転を始める。

 そして血を奪われたアルスルさんは、まるで何事も無かったかのようにアンデット軍団に向かって銃を構えた。


 ダダダダダダダダダダダダダダダ!!!


 機関銃のように弾丸が飛び出し、襲い来るアンデット軍団がバタバタと倒れていく。

 そのまま、銃を撃ちながらアンデット軍団の方へと歩を進めるアルスルさん。

 こちらは訳が分からず呆然と立ち尽くしていたが、アルスルさんとのやり取りから、頭をフル回転させて推察する。


(出口が無い。が入り口はあった。同じ所を延々と回っている。ループしているって事か? 後ろから来るアンデット軍団。後ろから? アンデット軍団の更に後ろには何がある…………!)


 オレはアルスルさんの横に立ち、〈インベントリ〉を布状に広げてザッとアンデット軍団に向かって払った。それだけでゾンビとスケルトンはオレの〈インベントリ〉に吸収される。が消したそばからゴーストが湧いて出てくる。


「ゾンビとスケルトンはオレが相手をします! アルスルさんはゴーストをお願いします! その方が銃の出力抑えられるんじゃないですか?」

「ふ。ああそうだな」


 言ってゴーストだけを狙い撃っていくアルスルさん。

 アンデット軍団が何故後ろから来るのか? それは後ろに行かせたくないからだ。では行かせたくない後ろにあるのは何なのか? それは入り口だ。

 おそらくこの迷宮は前へ前へ進んでもどこにもたどり着かないが、後ろへ引き返せば入り口には戻れるのだ。

 そして入り口こそがこの迷宮の出口なのだろう。そりゃいくら走っててもどこにも着かないはずだ。

 それを裏付けるように、オレ達が後ろへ舵を切ってからというもの、アンデット軍団だけでなく、地面から槍が飛び出してきたり、側面から矢を射掛けられたりしだした。

 オレはその悉くを〈インベントリ〉に吸収していく。

 ここにきてどうやらオレ達が進む先に何かあると感じ取った五人や騎士隊が加勢に入ろうとするのを、ヴィヴィアンさんが制する。


「あなた達の活躍の場はこの次よ」


 そう、オレとアルスルさんが今やっているのは言わば露払いなのだ。オレ達が向かう出口の先にはマミークラウンとロイゼル・ミュシェンが待ち構えているだろう。

 しかしこの大量のアンデット軍団を相手にした後のオレとアルスルさんでは、四魔将ふたりを相手取る事は出来ない。勿論ヴィヴィアンさんも。

 四魔将ふたりの相手は五人と騎士隊に頼むしかないのだ。

 だがオレ達は後手に回り過ぎていたかもしれない。

 いくらアンデット軍団を倒しても、後から後から湧いて出て、遅々として先に進めない。とそこに、


「でいやああああああ!!」


 豪吼一閃、エンヴィーさんが薙刀でアンデット軍団を横薙ぎにする。それだけで五十を超えるアンデットが灰塵となった。


「全く。死人の分際で、ひとの旦那様になんて事をしてくれるのかしら?」


 いやエンヴィーさん、あなたと結婚した覚えないんですけど? と言い返す暇も惜しいくらいにアンデットどもが押し寄せて来る。

 それを三人で押し返し進み、オレ一名がへとへとになりながら、なんとか閉ざされた城門にまで戻ってこれた。

 これどうしよう? と考えるまでもなく、アルスルさんの銃撃とエンヴィーさんの蹴りで、門扉はぶち壊されたのだった。


 壊された門扉の向こう側は、オレ達が入ってきた外の風景ではなく、薄暗い、体育館ほどはあるだろう広間だった。

 その奥にうごめく影が見えた。

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