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魔王殺しの弟子  作者: 西順


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30/40

#30 迷宮攻略

 騎士隊が驚いた理由をソニアさんが話してくれた。


「ミュシェン家はナスターンでも筆頭に挙げられる名家です。そのミュシェンの名を持つ者が四魔将のひとりになっていたとは」


 サルテン王国でも探りは入れていたが、四魔将の最後のひとりは分からなかったようだ。

 次いでヴィヴィアンさんが驚いた理由は、


「ロイゼル・ミュシェンはナスターン帝国の歴史最後のページで、魔王復活を予言した予言者の名前よ」


 その言に驚く一同。


「ナスターンの筆頭名家が、魔王復活の予言者か。魔王によって予言を操作されたと考えるべきか」


 アルスルさんの言に皆が深く頷く。

 そしてオレが驚いた理由だが、


「いままで相対してきた四魔将は、ミサイルボルカ、マミークラウン、ブラッディーエンヴィーさん、と三人共に英語名だったので、四人目も英語名だと勝手に思ってました」


 オレの言には皆、首を傾げる。


「え~と、英語っていうのは、オレの世界で広く使われている言語で…」

「ふむ、なるほど。イトスケの言った事が示唆しているのは、四魔将を侍る魔王ガルゼイネスは、イトスケ達と同じ世界から来たかも知れないという事だな」


 アルスルさんの解説でどうやら皆、理解出来たようだ。


「これら三つの言を合わせた所で、俺達が魔王を討伐するという最終目標に何ら変更はないがな」


 アルスルさん、身も蓋も無い事言わないでください。皆苦笑いしています。


「さて、当面の目標はこの迷宮になっているという城下町の攻略だな」


 アルスルさんの言葉で全員の視線が町に向けられる。


「イトスケ」

「は~い」


 オレはアルスルさんに言われてカストールを先行させる。別に迷宮になんて付き合う必要は無いのだ。ポルックスとカストールの能力(テレポート)で魔王の城まで一ッ飛びで片が付く。

 だが四魔将がそう易々と通してはくれないようだ。

 カストールは城壁の上を通ってショートカットしようとしたが、まるで見えない壁にでも阻まれるように城壁より先に行けない。


「おそらくミュシェン家の〈秘術〉でしょう。ミュシェンの〈絶対防壁〉と言えば大陸中にその高名が響き渡っているほどですから」


 とはソニアさん。そういう事は最初に言って欲しかったよ。いらん事をしてしまった。


「はあ。こんな大勢で罠に飛び込む愚行をしなければならないとは、湖の主と釣り勝負をするよりバカらしい」


 なんかスミマセン。と心の中で謝っておく。


 大口を開けて我々を迎い入れる城門を潜ると、案の定城門の門扉が閉められる。

 そして城下町の家屋から出てくるのはアンデットだった。


「どうやらマミークラウンは死んでなかったみたいですね」

「そうだな」


 アルスルさんが露骨に嫌そうな顔をしている。今回はヴィヴィアンさんの〈グランドクロス〉に頼る訳にもいかないからな。

 ヴィヴィアンさん自身は自分で動けるようになったが、まだスキルを使えるほどには魔力が回復していないそうだ。

 となれば、出来るのは逃げの一手である。

 ロイゼル・ミュシェンとマミークラウンと会敵するまで、出来るだけ体力魔力は温存しておきたい。

 しかし相手は迷宮の主だ。走り回り逃げ回り、追い縋るアンデットの軍団と戦わない道を選択していれば、行き着く先は行き止まり。とはならなかった。


「延々と走らされてる感じですね」

「ここまで失敗続きだったから慎重になっていると考えるべきか、しかし…」

「はい。前方の敵影がまばら過ぎるのが気になります」


 アンデット軍団は大量に後ろから追い縋ってくるのだが、前方にはほとんど出てこない。何ならオレ達が通り過ぎた後に後方に現れるくらいだ。お蔭で後方のアンデットの数は、数えるのも嫌である。


「これだけ走らされると、どこかに誘い込まれているという線も薄くなってくる」

「城下町で建物が画一的なせいで、同じ所を延々と走らされてる気がしますね」

「! そういう事か!」


 と、いきなり足を止めてアンデット軍団を振り返るアルスルさん。つられてオレ達の足も止まる。


「イトスケ、お前の勘が多分当たりだ。この迷宮に出口は無い」


 それって一体?

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