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魔王殺しの弟子  作者: 西順


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#24 死人乃国

 この廃村で活躍したのは佐々木と朝井の勇者二人だった。

 聖剣ブルージンと聖弓ナフラで蠢くゾンビやスケルトンと皆が呼ぶ骨人間、ゴーストなどを討ち取っていく。

 他の三人だって黙って見ていた訳じゃない。相手が悪かったのだ。

 ゾンビやスケルトンはまだ攻撃が通じたが、ゴーストに至っては霊体だから触れる事も出来なかった。そしてその内にゾンビやスケルトンが復活してくるのだ。

 普通の剣や斧でいくら倒したって復活してくるアンデット。滝口が得意の〈火魔法〉で燃やして灰にしても、大越が〈風魔法〉で細切れにしても、三島が〈土魔法〉で土中に埋めても、今度はゴーストになって復活してくるのだ。

 しかもゴーストになると〈魔法〉さえ効かない。効くのは聖剣と聖弓を持つ聖属性の佐々木と朝井の攻撃だけだった。


 佐々木が聖剣ブルージンを横薙ぎにすると、それだけで二、三体のアンデットが倒れて塵となっていく。ゴーストだってお構い無しだ。

 朝井の聖弓の射ち方は独特だ。なにせ朝井本人が射つのではなく、精霊のルーが器用に弓を引き矢を打ち出している。朝井がやっているのは〈インベントリ〉から矢を取り出す作業である。


「というか朝井が射ってる矢って、ヴィヴィアンさんの聖剣なんじゃ…」

「そうよ。今頃気付いたの? 予備ならいくらでも在るからね」


 気付いていたけど見てみぬ振りをしてました。

 聖剣を聖弓で射ち出すとか、なんてヤバい組み合わせを考えるんだ。生命の理に反した邪そのものであるアンデットにはこれ以上ないくらいの有効打だ。


 五人の方はそんな感じで、一方のオレ達はというと、ヴィヴィアンさんが無双していた。

 十本の聖剣が宙を舞い、アンデット達をバッサバッサと塵に変えていく。

 逆に騎士隊は相性最悪で、聖属性を持つ人間が居ないせいで、どれだけ倒してもアンデット達が復活してきてしまうのだ。結局ゴーストになった所をヴィヴィアンさんが聖剣で昇天させていくのがこのアンデット戦でのルーティーンみたいになってきていた。

 相性が悪いのはオレもそうだった。

 ゾンビやスケルトンを〈インベントリ〉に吸収しても、そこからゴーストが出てくるのである。ゴーストとはこの廃村で初めて会敵したから知らなかったが、オレの〈インベントリ〉は実態の無いものは吸収出来ないらしい。

 結局オレの方でも最後はヴィヴィアンさんに頼らざる得なかった。

 そしてアルスルさんだが、なんと言うか余り気が乗らない、と言った感じで襲い掛かってくるアンデットを一体一体撃ち倒していってる。アンデットなんて関係なく倒していってるのはさすがなのだが、


「調子悪いんですかね? アルスルさん」


 オレが横のヴィヴィアンさんに訊くと、


「ああ、数が多過ぎて嫌気が差してるのよ。アルスルさんの銃は血を弾丸に換えるから、本来こういう多勢に無勢の展開の時はアルスルさん、逃げの一手を取るのよ」


 血を弾丸に!? そりゃあこんだけアンデットが沸いて出てきたらげんなりするな。ひとりじゃないから逃げの一手も取れないのか。

 と言うか数が多過ぎる。村だよなここ?

 後から後からどんどんアンデットが沸いて出てきて、気付けばオレ達はアンデットの集団に囲まれていた。


「どうなってるのよこれ!?」


 大越が喚くが気持ちは分かる。


「おそらくまだまだ出てくると思います」


 ソニアさんが不穏当な事を口にする。


「何故ならここは、四魔将のひとりマミークラウンによって滅ぼされた国、ピストですから」


 それはつまり、国民全てがアンデットにされたって事ですか?

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