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#16 今後方針

「お互いの実力も計れたでしょ? ちょっと広間まで来て貰える? 今後の方針決めるから」


 ヴィヴィアンさんに言われ、佐々木達四人は渋々といった感じで広間へ向かった。

 明らかに納得はしていないようだから、今後この集団でのオレの立場は弱いモノになるだろうな。まあ後悔してないけど。


「気にしなくていいわよ。何も悪い事してないんだから」


 四人の後を追う形でとぼとぼ歩いていたオレに、ヴィヴィアンさんが肩を叩きながら声を掛けてくれた。


「え? 何ですか? 別に気になんてしてませんよ」

「そう? ならいいんだけどね」


 滅茶苦茶気にしてました。声掛けてくれてありがとうございますヴィヴィアンさん。


 広間に集まったのはオレとヴィヴィアンさんが最後で、アルスルさん以外、騎士隊や三島からも白い目を向けられていた。いや、ソニアさんはちょっと複雑そうだったかも。

 とにかくどう丸め込んだら、こんだけ味方を作れるのか、と思ったら、大越が〈交渉〉のスキルを持っていた事を思い出した。


「全員揃ったな」


 場の雰囲気などお構い無しにアルスルさんが口を開く。それだけで場の空気が引き締まり、皆の顔が真剣になり、アルスルさんに注目が集まる。


「〈世界地図(アトラス)〉」


 アルスルさんがそう言うと、アルスルさんの斜め後ろの中空に地図が展開される。


「今俺達が居るのがここだ」


 何処から取り出したのか、アルスルさんが指し棒で地図の中央に描かれた大陸の右下を指すと、ポッと緑の光が点く。


「で、俺達が倒すべき魔王が居る場所がここ」


 大陸上部を指し棒で叩くと、今度は赤く点灯した。


「で、合ってるな?」


 アルスルさんが騎士隊長を見遣ると、首肯する騎士隊長。


「元ナスターン帝国、その帝都帝城に魔王ガルゼイネスは居ると考えられている」


 何気に初めて聞くかも魔王の名前。ガルゼイネス。名前だけでも強そうだ。


「魔王はどうしてそこを拠点に?」


 佐々木が隊長さんに尋ねるが、「分からない」と首を横に振られてしまった。


「ヴィヴィ」

「任せて」


 アルスルさんに言われたヴィヴィアンさんが中空から分厚い事典を取り出す。そう言えばヴィヴィアンさんの加護に〈百科事典(エンサイクロペディア)〉というものがあったな。


「ナスターン帝国の歴史、最後のページによると、どうやらナスターン帝国の予言者が魔王降臨の予言をしたみたい。しかも降臨する場所は帝国内。この事を憂慮した最後の皇帝ベイロ・ナスターンは、勇者召喚という禁術に手を出した。でもそれが最悪手だった。召喚されたのは勇者じゃなくて魔王ガルゼイネスだったの。ここでナスターン帝国の歴史は終わっているわ」


 シンと静まり返る広間。それを壊したのはアルスルさんだった。


「何とも笑えない話だが、過去は過去だ。俺達は俺達の出来る事をしよう。帝都までどれくらい掛かる」

「馬車で約一ヶ月といった所だ」


 アルスルさんに降られた騎士隊長が答える。

 一ヶ月か。この数日の魔王軍の攻勢から鑑みると、向こうは完全にこちらにターゲットを絞ってきてるよなあ。多分ここでじっとしてたらどんどんと魔王軍が攻めてきて、後手後手で詰むだろう。


「出発は二日後だ。それまでに気持ちを固めておけ」


 まあ、そうだよな。ジリ貧になるのが分かってるんだ。こちらから打って出るしかないよなあ。


 会議はこれで終わったので、オレが広間から出て行こうとすると、アルスルさんに残るように呼び止められる。出ていく回避組五人がニヤニヤしていたから、ああ、そういう事か、と思ったけど。

 広間にはオレとアルスルさんにヴィヴィアンさんだけが残った。


「オレは悪いと思ってません!」


 先手必勝とばかりに身の潔白を口にするオレ。ヴィヴィアンさんも残ってくれてるし、大丈夫だよね?


「何言ってるんだイトスケ?」

「あれ? 訓練スペースで佐々木と滝口と闘った事じゃないんですか?」

「そんな些末事はどうでもいい。今考えるべきはお前の〈ディレイ〉をどう活かすかだ」


 あれは些末事ですか、そうですか。


「〈ディレイ〉を活かすって、何か手があるんですか?」


 この人は〈インベントリ〉も戦闘で使えるようにしちゃう人だからなあ。〈ディレイ〉もどうにかしちゃうのだろう。


「ああ、お前には〈詠唱魔法〉を覚える上で、精霊と契約して貰う」


 ??? 〈詠唱魔法〉と〈ディレイ〉って相性悪くない?

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