第九話:真奈美
「えー?私の事知らないのー?珍しいね。」
続けて彼女は言った。
「まぁぃいゃー。特別に教えてあげるよ。私は今、有名な泥棒の真奈美だょ。」
やけに明るくめんどくさかった。
「・・・。ふーん。そッ。」
とあっけなく答えると不思議そうにこっちを見た。
あまりにも気持ち悪いので聞いてみた。
「なんだッ?」
「だって驚かないんだよ。変なの。」
といい笑った。
俺は少し驚いた。
はじめて会った奴に普通笑顔を見せるのだろうか。
普通は警戒して笑顔どころかべらべらと喋らないだろう。
俺から簡単に逃げれると思っているのだろうか。
まぁどうでもいいが…
あれこれ考えていると真奈美は口を開いた。
「ねぇもう一度そのハーモニカ吹いてくれない?すごく綺麗な音色だったから」
俺のハーモニカの音色を聴いて喜んだり、綺麗って言った奴は初めてだった。
俺は嬉しかったのだろう。
だから今、俺はハーモニカを吹いている。
30分の間、真奈美は目をキラキラさせながら、俺のハーモニカを聴いていた。
曲が終わると真奈美はニッコリ笑い言った。
「凄く綺麗だったよ。ねぇ毎日吹いているの?」
「毎日とは言いきれないがほぼ毎日だ。」
と答えると即答してきた。
「また聴きに来ていい?」
俺は驚いた。
真奈美には驚かされてばかりだった。
そして思った疑問を言ってみた。
「ただハーモニカを聴くだけなのに暇じゃないのか…?」
その答えは呆気なく返ってきた。
「暇じゃないよ。逆に楽しいよo(^-^)o」
「お前珍しいな」
嬉しかった。
初めてだった。
こんな気持ち……
「やっと笑ったね。」
っとニッコリして言った。
知らなかった。
気付かない間に真奈美を自分の心の支えにしていた。
真奈美と話していくにつれて俺は真奈美にだけ本心を見せるようになっていった。
次々に会話が進み大分時間が過ぎていった時だった。
「ゴメンー!もうそろそろ時間だ。次ここに来る時はこの窓に手紙挟んでおくから、また今度。それと私と出会った事内緒だよ。」
と真奈美は言うと屋根の上を走り去っていった。
その後、月を見て俺は自分の部屋に戻った。
電気をつけずに
少し窓を開け外を見渡した。その時に部屋のドアが開いた。