表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

第四話:狙う者と守る者

黒い服で身を包んだ人が四人ほどでてくると俺のまわりを取り囲んで捕まえようとして来た。


まずい…


逃げきれない…


逃げきれるわけがない。


でも…


ダメだって決めつけたくない。


諦めたくない


いろいろと考えている間に黒い服で身を包んだ人は目の前まできていた。


俺はそっと後ろをみる。


そこには黒い服で身を包んだ人はいなかったがコンクリートの大きい壁ががっちりと立っていた。


その時、車の音が聞こえてきた。


このエンジンの音は俺の家の…………。


雅人…


心の中で自分の使用人の名前を呼ぶ。


その時に黒い服で身を包んだ人が何かコンクリートのようなものを振りかざしているのが見えた。


気付いた時にはよける事ができずに俺はなぐられた。

目の前が真っ暗闇につつまれたけど雅人の声は聞こえた。


「悠一坊ちゃん…!?」


「坊ちゃん…ッ!」


雅人は唇を震えさせながら言った。


「お前らか…!?坊ちゃんを……!悠一坊ちゃんをこんな血だらけにしたのは…!?」


僕は睨みつけた。


黒い服で身を包んだ人が答える。


「そんなにこのガキが大切か!?」


「答えになってない!!とにかく坊ちゃんをかえせ」

僕は坊ちゃんが心配で心配で仕方なかった。


「嫌だといったら…!?」


と黒い服で身を包んだ人が挑発する。


「力ずくでもかえしてもらうだけだ!」


と言って僕は黒い服で身を包んだ人達の所に向かって走りだした。


そして腰にかけてある小刀を手にとり黒い服で身を包んだ人達の隙間をついて一人をきりつけた。


黒い服で身を包んだ人達の中の一人が倒れた。


それを見た他の黒い服で身を包んだ人達がうろたえはじめた。


その隙間に僕は坊ちゃんの所に駆け寄った。


坊ちゃんは血だらけで今にも死にそうな感じでコッチを見ていた。


僕は少し泣きそうなになった。


「雅人……。」


「悠一坊ちゃん!」


「さ…っ………………きの…………ゴホゲホ…ッ!」

「喋らないで下さい!命に関わります!」


すると叫び声が……!


「ボサッとするな!!さっさとそのガキを殺れ!」


はっ!!


黒い服で身を包んだ人達がこっちに向かってくる。


また叫び声が聞こえた。


「雅人!悠一坊ちゃんを早く車に……」


中道さんだ…。


中道さんは坊ちゃんの良き理解者である。


そんな中道さんを見捨てる訳には……


「でも…中道さんは…!?」


「馬鹿野郎!お前は坊ちゃんを守るんだろうが!!俺に構う暇があったら坊ちゃんを助ける事だけを考えろ…!」


「………はいっ!」


僕は辛かったけど走った。

坊ちゃんを抱えて歯をくいしめながら…。



『守る』という本当の意味を僕は知った。


何かを犠牲にしなければ何も手に得る事は出来ないと同じで誰かを犠牲にしなければ誰も救えない。


でも僕はそんな自分が嫌いなんだ。


犠牲にしたくない…


僕は一人だけじゃなくもっと多くの人が救いたい。


誰の犠牲もなしに救いたいんだ。



坊ちゃん……


坊ちゃんならこんな時………。


と考えた。


そして僕は車に坊ちゃんに乗せて運転手に言う。


「坊ちゃんをお願いします。僕はここに残ります。」

「えっ!?でも…」


「お願いします…」


「……はい。承知しました。」


「無茶言ってごめんなさい。」


黙ったまま運転手は俯く。

僕は…………


と思い意識のない坊ちゃんを見て言う。


「ごめんなさい……坊ちゃん………僕は…僕は……初めてあなたに背きます…。」


僕は拳を握りしめた。


そして運転手の方を向き軽く礼をする。


車のドアを閉めて犠牲者を出さないために走った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ