第十五話:雅人の逆鱗に触れた人(笑)
俺がそう言うと雅人は慌てて言い返しに来た。
「いえ、謝らないで下さい。坊ちゃん!」
オアシスがふき出したみたいな快感だった。
途中で中道さんは俺に寄ってきて髭でざらざらの頬をこすりつけた。
「痛い!痛い!中道さん?離れろ…。」
凶器のような髭にこすられながらも手をのばした。
目の前にいる雅人に異変を感じた。
雅人は彼氏を取られた彼女みたいな目で中道さんを睨みつけていた。
嫉妬…………?
俺は中道さんの肩を突いて雅人の方に指差すと…。
中道さんは鬼を見たように雅人の方を見て固まっている。
雅人は不気味に笑いボソリと喋った。
「中道さん?どうしたんですかー?固まって……。」
怖い………
俺はそう感じていた。
普段あまり怒らない人はキレたら怖いと聞いたが本当だったと思っていた。
………………!
はぁー!
俺の部屋には叫び声が響き渡っていた。
そんな中、俺は立ち上がり俺の部屋のベランダに小さなポストをつくっていると雅人が不思議そうにこっちを見ていた。
「何をなさっているのですか?こんな所にポストなど……?」
俺はポストの奥行きなどを調べている手を止めて言った。
「雅人に今度、紹介したい奴がいる。」
中道さんは、まるで猫が嫌いなものをずっと見つめているように影から俺達を見ている。
雅人はそれを無視をして俺に問い掛けてきた。
「紹介したい人ですか…?」
止めた手をまた動かし話しを進めた。
「ああ…。誰にも話すなよ。あいつは人と会う事を拒むから…。」
人と会うのを拒む…?
いったいどんな子なんだろー?
しかもポストと何か関係が…!?
「はい。分かりました。この事は秘密にします。」
お坊ちゃんは、また真剣に作業を進めていった。
だから僕は、邪魔しないようにした。
だがあまりにもする事が無かったから、坊ちゃんのために料理を作る事にしたんだ。
中道さんは、お坊ちゃんの邪魔をしないように連れて行く事にした。
料理長の力をかりてやっとできたのが、お坊ちゃんが大好きなオムライスだ。
B級料理であるが、あれがたまらなく好きだった。
よく貴族はこんなの食べないと思われるものだって、興味などで食べている場合のほうが多いんだ。
後は、持って行くただそれだけだった。
僕はお坊ちゃんの美味しいという言葉を聞きたかっただけかもしれない。