第十四話:笑顔
ハーモニカがないか辺りを見渡したが小さな箱以外は見渡らなかった。
小さな箱………。
僕はその小さな箱をゆっくり開けた。
そこには綺麗で清潔に保存されているハーモニカだった。
ハーモニカあった!
「中道さんっ!ありましたよ。ハーモニカ!!」
中道さんは、また目をキラキラさせて僕の方によってきた。
「おぅ!やっぱり面白いなぁ!落ち着くし考え事とかするのには、ちょうどいい。しかも凄く長い折りたたみ梯子を持っている…。外への通路をつくろうとしたんじゃないか?」
無邪気だ………。
まるで子供のようだ。
「それはないでしょう!」
僕はそう言ったが中道さんの言った事が間違いないだろう。
「ほら、中道さんおいてきますよ!」
はぁー。
坊ちゃん。ちゃんと寝てるかなぁ。
中道さんは後に続いて屋根裏部屋をでる。
綺麗さっぱり片付け急いで戻る。
中道さんは小走りで僕を追いかけながら言った。
「おぃ…!?走るなよぉー!」
中道さんの言葉を無視して僕は走り続けた。
バンッ!!
「坊ちゃんっ!」
走ってきた僕を驚いたようにみた。
「どうした!?走ってきて…!?」
っと問い掛け読んでいた本を閉じた。
「いえ…心配だったので」
少し顔を赤くしてたら中道さんがやっときた。
「ふぅ…。おい!雅人…。足速すぎ!!」
中道さん…。
やっぱり………。
馬鹿っぽい。
ため息をついて、坊ちゃんの方を見る。
光るなにかが
坊ちゃんの頬を伝って落ちた。
涙っ……?
………涙っ!
俺は中道さんも雅人も目を丸くしている事には気付かなかった。
俺は泣いているのか!?
何故…?
雅人達の一言がどうして……。
こんなに笑えるのか!?
俺は分からなかった。
「クスクスッ…。」
もう限界……!
「クッ!ハハハハハッ!マジ訳分からん!!」
久しぶりだ…!
いやっ!
最近だ…!
こんなに笑ったの!
真奈美の時以来か…!
そんなこんな考えていると雅人達はポカンと口を開けこっちを見ている。
「あぁ、すまない。なんか分からないが笑いが止まらなくてな…。」
雅人達に聞こえているのか分からないが…。
ポカンとした口が閉じ終わるのを待った。
だが雅人達はその口は閉じないで、そのまま歓喜の声をあげた。
まるで子供が産まれたみたいな歓喜の声だった。
「ぼ……坊ちゃんが笑った…笑った!!」
「悠一…!?笑ったんだよなぁ、マジ!?初めて見た。」
何故か感動している雅人と中道さんに疑問を感じていた。
「どうしたんだ!?」
雅人はこっちをむきかえった。
「坊ちゃんがあそこまで笑う事は滅多にありませんから驚いてしまって…。すいません…。って中道さんも坊ちゃんの変な妄想は止めて下さい!」
やっぱ馬鹿だっ!
頭いいのに馬鹿だな…
それに中道さんまで…!
あんなにガキだっただろうか?
「いや、かまわない…!何故だか分からないんだよ。わるいな。」