第十二話:夢
くそっ!
ここで逃げたら中道さんと雅人が…!
俺はナイフを構え突っ込んだ。
SPもナイフを取り出す。
そしてSPは俺の攻撃をナイフで対処する
カキンッ!
ナイフがぶつかり合う。
俺は一人を払いのけ間接を外した。
あと二人……
………………っ!
視界が歪む!
頭がズキズキ痛い
頭から流れている何かが床に落ちる。
前からも流れている…
服で拭き取ると血がついていた。
誰かが叫んでいる……
中道さん?
いや違う……
中道さんも何か叫んでいるが違う………?
聞き慣れた声…
俺はふらついて跪いてしまうと、また聞き慣れた声がした
まさか
雅人…?
俺はそのまま倒れてしまった。
俺は夢をみた。
幼い頃の俺は母様の死を悔やんでいた。
母様は眠ったように死んだ姿が目の中に溢れ出した。
映像が白い靄で見えなくなると目の前に母様が現れた。
「母様…。」
母様は夢の中で俺に囁いた。
「しっかり生きなさい。迷わず前をみて進みなさい。一人で生きるような人間にはなってはいけませんよ。仲間を信じて、そして守ってあげるのですよ。あなたは優しい子です。父を怨まないであげて下さいね。」
母様はいつもの優しい声で俺を宥めた。
「母様……。それは出来ません。父を怨まないなど、傷ついた使用人をもっと傷つけた人です。そして俺はいらない存在でしか無いのですから。そんな俺が仲間など作ってはいけないのです。」
俺は母様の言葉を信じる事が出来なかった。
俺の心の中の世界は乾いていた。
太陽は照り付け、風はふかず、砂漠が永遠に続いていた。
そして真奈美の小さなオアシスだけが涼しげに光っている。
前あった雅人と中道さんのオアシスは涸れはて形すら残っていない。
そんな感じだ。
母様はそんな心を見たように悲しげな顔をして光の中にとけるように消えていってしまった。
「母様…いってしまわれた。」
母様が消えたあと、あたりは真っ暗闇に包まれた。
闇の中は退屈で嫌な事ばかりしか出てこなかった。
果てしない暗闇からは嫌な笑い声がたくさんなり響き俺は闇に取り込まれた。
ずっと闇で体がなれていくと今度は嫌という程のまばゆい光が差し込んだ。
すると俺を呼ぶ声があたりに響き渡った。
光の奥には俺と同じくらいの手が俺に手を差し延べている。
怖く恐ろしい手ではなく、白くて綺麗で優しい手をしていた。
迷わず手をのばし、白くて綺麗な手と俺の手が混ざり合う。
その瞬間に、目を閉じなければいけないくらいの光が俺を包んだ。
光は消えているのかわからなかったが、思い切って目を開けてみると、俺は俺の部屋のベッドで寝ていた。
そして隣には中道さんと雅人がこちらを見て、嬉しそうに笑っていた。