第十話:屋根裏部屋
はじめは誰だか分からなかったが、それが中道さんだと気付いた。
「電気を付けずに何をやってるんだ?悠一。」
と聞いてきた。
「いえ。別に……。それより雅人は無事ですか?」
「あぁ。大丈夫だ。」
少しホッとして聞いた。
「そうですか…。一つ頼まれてくれませんか!?雅人に違う仕事をあたえて下さい。これ以上あんなに傷つく姿見ていく事が出来ない。自分の身は自分で守れます。」
中道さんは驚いて即答出来ないみたいだった。
「お前の気持ちはいいかもしれないな。だけど雅人の気持ちはどうなる?」
「それも考えたが………
いや、いい。さようなら」
俺はハーモニカを持ち自分の部屋を飛び出した。
格好悪りぃ…
と思いながら走った。
長い長い廊下を走り、誰もいないか確認して屋根裏部屋へ行く為の道具を隠し扉から出した。
そして屋根裏部屋への扉を開け屋根裏部屋に入った。
この仕掛けを作った自分に今は感謝していた。
屋根裏部屋に入る為の隠し扉を作るのは夜に部屋を抜け出したりしても三日間も掛かってしまった。
屋根裏部屋の掃除も大変で仕方なかった。
屋根裏部屋は家中を動き回れる程だった。
窓がない事に気付いたから窓も盾突けた。
そして家具などを運ぶ作業も大変だった。
皆知らない。
そんな屋根裏部屋は解放的で大好きだった。
屋根裏部屋は俺がいつでも出ていけるぐらいの荷物は揃っていたし計画だって立てれる。
そしてこれから外へ抜ける道を作る事だった。
俺は気が付いた。
真奈美と屋根の上で出会った。
屋根を渡ってバレないところに降りればいいだけだって事を……。
俺は家の全体の見取り図を想像した。
この屋敷は一番奥の屋敷で横の屋敷がある。
そこには隠れやすいスペースがある。
しかも全然人が通らない。
完璧な場所だった。