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第一話:生きた時間と幸せ
六年前の事は一生忘れはしないだろう。
だって僕、中嶋雅人は生きる事を諦めた事があった。その時に僕を救ってくれたのは、松下財閥の跡取り息子の松下悠一坊ちゃんなのだ。
あの日、突然、家に強盗が来て、いきなり包丁を突き出して“金を出せ”って脅された。当然断った両親は金を捕るだけのために殺された……。
僕は金もなかったし電気代などの生活費も払えない。もう僕は絶望的だった。そして家を売る事を決意した。
僕はビルの路地で、ずっとしゃがみ込んでいた。雨が降っていたから、びしょ濡れだった。あの時の僕は両親と一緒に死にたいって思っていた。
今なら考えつかない事だけどね…。