修行編Ⅸ
「逃げられねーぜ」
一夜のこの一言には大きな意味があった。
「そんな簡単な嘘に騙されるかよ」
フッと、あざ笑うように教師は一夜を睨む。
その刹那、二人は全速力で走り出す。
金属音が定期的に、何度も何度も響く。二人は走りながらバランスを崩さず相手を切り刻む。
しかし、前を走っている教師が急に前に倒れていた体をくるりと振り返り、地面と靴のゴムの摩擦音が響き渡る。そこから下半身を大きく回転させ真っ直ぐ一夜の首を狙いに来た。
「待ってたぜ」
一夜は細々とした弱い声でボソッと呟いた。
「三日月の型〈月夜〉」
一夜は右に一歩ずれ、襲ってくる教師を三日月のような弧を描き、教師の全身に大きな傷を負わせた。
(こいつは倒した、次は......)
「(アレクシアの元だな)」
教師の声と一夜の頭の中で考えていたフレーズが一致する。
「早く来いよ」
教師はまた、スピードで一夜に対抗してくるつもりだ。
「戦形・風神」
しかし、魔力が増幅したり新しい能力が出るわけでもない。型が変わっただけなのだ。
「何が変わったんだ?」
一夜は左足をジリジリと引き、自分の型を作り始めた。
(!?)
一夜が足を引き終わった瞬間、教師の姿が消えた。
「逃げれねーぜつったろ?」
一夜は剣を半月のような形で剣をカマキリのように持ち、腕を一瞬で教師の胸に刺す。
「視界はねぇってことか」
背後に回っていた教師はつむじ風となり、元の場所へ戻っていた。
「お前の間合いから逃げれば逃げれるんだが?」
教師が両手を挙げため息をついている。
「誰に話してるの?」
一夜は教師の後ろにいた。
「は?」
教師の言葉を遮り、一夜は一気にかたをつけにかかる。
「上半月の型〈夜猫〉」
二人の高度な騙し合いは単なる剣士のレベルを超えていた。
忙しくて短くしかかけませんでした!10日間も待たせてすいません!
また、次回に!