時雨救出編ⅩⅢ
「お前も救いたいんだ。」
氷雨は、滅に話しかける。剣を交えながら。
「何を言ってるんだ!俺はもう子供じゃない!!」
二人の圧倒的な剣劇の前に、アレクシアと時雨は置いてけぼりになっていた。
「私たちは隙をついて援護をしましょう。」
アレクシアが提案する。
「ええ。」
(彼はなんか、あったことがある気がする。)
時雨はそのようなことを考えながら、滅の隙を狙っていた。
長い剣劇が続く。氷雨の剣は、殺す為ではなく人を救うために振るっている剣だ。その剣の重みはとても重い。人殺しの剣よりも。
「なんでっ!...なんでなんだよ!!」
氷雨は語り続ける。過去の滅に戻ってほしいと。
「お前は甘すぎるっ!!」
滅が言い返す。
「〈ダーク〉」
その瞬間、黒い物質が氷雨の顔の近くに放たれる。滅の手から。
「あぶねっ!!」
氷雨はギリギリで回避。
「〈氷柱雨〉」
秋霖を発動していないため、威力は弱かったが敵を移動させるには充分な量だった。
「霧島抜刀術3の型〈春雨〉」
強烈な二撃が、滅に当たる。しかし、
「この程度か。」
滅には傷が付いていない。
「覚悟が足りねぇんだよ!!!!そうやっていたから、お前はあいつに利用されるんだよっ!」
滅はやらかしてしまった。絶対に入ってはいけない、悪魔の地に。
「お前、なんつった?」
まるで、鬼神のような迫力で相手を圧倒する雰囲気。
「だから、お前は利用されるんだよって言ったんだよ!!!!」
「ブッ殺す」
「ア"ア"ア"ア"ア"」
こうなった氷雨は誰も止めることができない。そう彼はもう氷雨ではないのだ。黒氷雨が、この場に顕現した。
「「キャアアアアアアアアア!!」」
近くにいた時雨とアレクシアは、風圧により吹っ飛んでしまう。
「やあ。お前は、あいつをキレさせたみたいだな。俺は、怒りと欲に反応して表に出てこれる。あいつには感謝しなきゃいけないこともあるし、手慣らしってところで、お前を殺すけど文句ねーな?」
意味わからないことを黒氷雨が言うが、
「お前に殺されるなんて、俺も舐められたもんだな」
滅が呆れて答える。
「じゃあ、試してみるか。」
「我は、蒼黒の覇者なり。我に眠る雨の蒼龍よ。我が汝の枷を解き放つ!我が体に顕現せよ。蒼黒の龍〈ウロボロス〉」
黒氷雨が、ドラゴンを融合した。
「駆け巡れ〈驟雨〉」
「お前なんて、この程度で倒せるから。かかって来やがれ」
ソウルロックも解除しないで、滅に挑む黒氷雨。
「舐められたもんだな。じゃあ、遠慮なく。」
その瞬間、黒氷雨に付いていた角が片方切れていた。
「舐めていてすまなかったなぁ。全力を出してやるよ。」
「出しても変わんねえだろ」
「ブッ殺す」