時雨救出編Ⅸ
「〈ライトニング〉」
地雨の足元に轟く雷鳴。いつもより強く魔法を発動する。
「それだけなのかよっ!!〈村雨〉」
続けて剣を伸ばし攻撃する地雨。
「あなたもそれだけねっ!!」
二人ともまた余裕があるようだ。強い技をどちらが使うか、我慢勝負しているところだ。地雨は、今までの大会で出したことのある大技。アレクシアは、〈クラウ・スラスト〉が、覚醒したことにより出せるようになった大技。二人の集中力は計り知れないほど強くなっていった。二人の目には周りが遅く見える。
クラウ・スラストとクサナギは、激しい魔法の押収だ。閃光と斬撃が、素早く交差する。まるで、巨体のドラゴンに挑む勇者のようだ。
「〈モルトライトニング〉」
クラウ・スラストは、クサナギが逃げれないように雷の柵を作る。
「自分で、逃げ道無くしていいのかしら?」
笑いながら、話しかけるクサナギ。二人の戦いはハイレベルだ。
「〈ライトニング〉」
閃光を口から吐き出し、すぐさま別の方向へ動き
「〈クラウドフィールド〉」
〈ライトニング〉の力を増大させる。
その威力を片手で消すクサナギ。まるで、手がシールドのようだ。
「次はアタシの番だよっ!!」
クシナダがクラウ・スラストに剣を向け突撃する。
(もう時間がないわ!)
クラウ・スラストが、アレクシアに忠告する。次の技は、クラウ・スラストが弱れば威力も落ちる。そのことを考慮して、アレクシアに話しかけたのだろう。
(準備は出来たわよ)
アレクシアとクラウ・スラストは心で話し合っている。そして、次の技の準備ができる。
(あいつらが動き出しそうだ。できるなら、そこにいるドラゴンを倒せ。できないなら、融合の準備をしろ。)
地雨も指示を送る。
(いちいちうるさい人だ。瞬殺は出来ない。お前に融合する準備をするよ。)
嫌々指示に従うクサナギ。
アレクシアが、詠唱を始める。
「光の聖龍よ。我が刀と体に力を貸したまえ!神をも滅する光の刀〈クラウ・スラスト〉よ!〈クライヴ・スラスト〉」
〈クラウ・スラスト〉が、剣と体へと融合し光に囲まれたアレクシア。まるで、雷龍のように。光速で地雨へ攻撃。しかし、消えた剣帝も規格外の力だ。
「クサナギよ。我の体を守り給え!〈逆雨〉」
すぐさま〈クサナギ〉を剣に融合させ、その剣を盾のような形に変形させた。
「ッ!?」
雷龍のような状態で、驚くアレクシア。
「まるで、氷雨の〈逆雨〉と同じじゃない!!」
地雨はにやけながら、アレクシアへ返事をする。
「彼は、自分で考えた魔法を持っていないんだよ。全て、俺の技か、それの真似っこだ。しかも、俺は全てを教えていない。つまり、俺の方が氷雨より強いんだよ。」
やはり、強いと確信したアレクシア。しかし、自分の最高の技が決まらなかったという最悪の事実が現れる。
「こっちの番だな。いくぞ〈クサナギ〉」
「こんにちは。僕は、神風滅。」
おそらくこの幻術を使っている犯人の、滅が自己紹介をして来た。
「神風さんですか?なぜ、私に幻術をかけるんです?」
「僕は、君のおじさん。つまり、霧原地雨と交渉しているものでしてね。今回の交渉内容は、霧島時雨を生け捕りにしろと。すみませんね。」
滅は、自分が狙っている獲物に、君を捕まえるよと言ったのだ。
「私にそれを言っても良かったの?」
「ええ。君程度なら。なので、諦めて僕について来てくれないかな?」
馬鹿みたいな提案をしてくる。
「いいわよ。でも、こちらにも条件をつけさせてもらえる?」
時雨には考えがあった。
「断るね。」
「じゃあ、交渉決裂ね!」
二人とも体から魔力が出始める。
「「ソウルロック、解!」」
(見つけたっ!!けど、あれはっ!!)
時雨を見つけた氷雨。しかも、氷雨はその場にいた神風滅を知っていた。
(なんで、あそこに滅がいるんだよっ!!‘マジックハンター’のリーダーがっ!!)
少し間が空きました。すいません。まだ忙しいので、毎日投稿は厳しいと思います。なので、少し多めに書きました!
では、また次回!