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月夜の天敵

作者: 碌那空戯兎

 暗闇の中、闇の中でも輝く漆黒の髪に一瞬光を持つ眼の男が立っていた。

 男は言う


「奴が来る…」


と。

細身ながらも綺麗なバランスのとれた筋肉を持つ彼。

彼は、恐れた。

言葉を発するだけで身震いをしてしまう。


ただ彼の感情は怖いで埋め尽くされていた。


彼は細身ながらも同世代には『殺し合い』で勝てる者はいない。

だが、そんな彼が身震いし恐れた存在。


唯一彼の傲慢さを一気に無くさせた存在。


『絶対強者』


彼の脳内にはこのことが頭に浮かんでいた。

いや、このことしか考えられなかった。


彼は自分に近づいてきた奴の存在に汗をかいた。

ツルッと一瞬背筋を舐めるような殺気に今でも腰が抜けそうだ。


まるで自分が、自分を否定したかのように思える存在。

彼が彼という存在意義を思わせない。


死してなをも苦しみ続けるような苦痛。

息苦しさに呼吸が上手く整えられない。


奴が、奴が来る…


黄色い悪魔が…


ペタッ


ペタッ


ペタッ













「ピヨッ?」


あの、ヒヨコが!

文句、言わないで!屁理屈ダメ!送らないで!

何でも言うこと貴方様が聞くのでお願いします!

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