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異世界×転生×etc.~気付けば木とか豚とか悪役令嬢とかだった人達の話~  作者: 獅象羊
第一章/木になった俺と、最果ての森の四種族
18/91

17.分からないことだらけの中で

今回は非常に短いです。

 長々とした話し合いが終わって、翌日。

 昨日目覚めたのが昼過ぎで、話し合いは夕方まで続いていたから、凡そ2~3時間くらいずっと話し合いをしていた形になるが、何故か3日くらい話し合いが続いていたような錯覚に陥る。

 きっと俺、疲れてるんだな。


 内心で深い溜息をついてから、昨日後回しにした状態確認(ステータスチェック)を行う。

 初の戦闘をくぐりぬけた訳だから、少しくらい成長もしているだろう。


 [状態][道具][技芸][称号]


 【名前】名無し


 【種族】???


 【年齢】0歳


 【性別】無し


 【称号】考える植物


 【戦闘】


 〔総合〕1<ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>

 〔耐久力〕15/15

 〔瞬発力〕5/5

 〔体力〕6/6

 〔魔力〕20/20

 〔気力〕50/50


 〔力〕5

 〔知力〕10

 〔頑丈〕6

 〔速さ〕0

 〔技力〕無手・G、剣・G、弓・G、短刀・G

 〔術力〕無し


 【生活】


 〔エルフ語〕基礎・F

 〔身体操作〕基礎・F

 〔並列思考〕基礎・G

 〔分離〕G

 〔合体〕G

 〔魔術耐性〕無属性・G

 〔気配調節〕G

 〔回避〕基礎・G


 確認してみると、確かに総合の横に選択肢が増えていた。

 相手を殺したりしなくても、経験値は手に入るようだ。

 …その経験値はどこから見るのだろう?

 そう思いながら色々と試していると、総合の数値の横に表示させることが出来ることに気付いた。


 【戦闘】


 〔総合〕1(20/15)<ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>


 分母の15が必要な経験値で、分子の20が今持っている経験値だろう。

 だとすると、森の子鬼(フォブリン)一人につき、10の経験値を貰えた、という計算になる。

 結構多いような気がするのは、まだレベルが低く、必要な経験値も少ないからだろうな。

 俺はそう思いながら、ランクアップしますか?という問いに「はい」と答える。

 すると、どこかで聞いたことのあるようなファンファーレと共に数値が上がる。


 【戦闘】


 〔総合〕2(5/35)(1up)

 〔耐久力〕15/17(2up)

 〔瞬発力〕5/6(1up)

 〔体力〕6/8(2up)

 〔魔力〕20/23(3up)

 〔気力〕50/51(1up)


 〔力〕8(3up)

 〔知力〕15(5up)

 〔頑丈〕7(1up)

 〔速さ〕25(25up)

 〔技力〕無手・G、剣・G、弓・G、短刀・G

 〔術力〕無し


 ……ん?

 今おかしいものが見えたぞ。


 総合が上がると、全数値が上がる。

 それは分かる。

 ゲーム的感覚からいくと、別におかしいことはない。

 でも…え?


 〔速さ〕25(25up)


 ……。


 …おかしくないか?

 いや、そう言えば元々速さの数値は「0」だったな。

 これは、人型を手に入れた際の影響が、ステータスに反映されていなかったと見て良いのだろうか?

 疑問に思いながら、よくよく眺めていると、下の方に小さく米印を見つけた。


(※但し、樹木形態の際の速さは常に0)


 何か納得した。

 他の数値は、一応今みたいに木の状態でもそのまま反映されるが、速さに限っては人型の時に限る、と。

 歩ける訳でもないのに25とかあったら怒るが、そうではないらしいし、スルーに限る。


 あとは、スキルだな。

 戦闘スキルも生活スキルも、一つくらい上がるものはあるかもしれない。

 俺はスキルページに切り替える。


【剣】


<ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>


【身体操作】


<基礎:ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>


【気配調節】


<基礎:ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>


【回避】


<基礎:ランクアップ条件達成。ランクアップしますか?⇒はい/いいえ>


 んー…そこそこってところか。

 とりあえず、全部上げておこう。

 魔術耐性の無属性は既に持ってるけど、どうせなら炎耐性も得られれば良かったんだが、そこまで高望みは出来ないよな。

 食らってはいないけど、あれだけ熱い思いをしたんだから、それくらい得られても良いかなぁ、なんて思ったんだが…。


「シンジュ様。起きてらっしゃいますか?」


 声をかけられて、ハッとする。

 気付くと、俺の目の前というか目の下に村長が来ていた。

 俺は慌てて人型を出そうとするが、村長はその前に俺に軽く触れる。


「(突然失礼致します。話があるのですが、よろしいでしょうか?)」

「(あっ、はい。大丈夫ですけど…どうかしたんですか?)」


 俺が人型を出す前に触れて来たということは…。

 何か他の人に聞かれたくない話…か?

 そう思っていると、村長が申し訳なさそうに微笑んだ。


「(許可も得ずに触れてしまい、申し訳ありません。失礼を承知で、どうしても確認しておきたいことがありまして…内密に)」

「(それは構わないんですが…)」


 内密って…。

 村長がそんなことを言うとは、かなり重要な話ということだろうか。

 自然と緊張してしまう。

 きっと身体は固くなっていることだろう。

 …まぁ、俺木だけど。


「(恐れ入ります。先日お伺いした、この世界の管理人を名乗る少女が話していた内容についてなのですが)」

「(管理人さんについてですか?ええ、どうぞ)」


 予想と別の方向からアプローチが入った。

 管理人の言っていたことと言えば…俺に、世界を救う可能性のある、日本人を探して欲しいって話だな。

 あとは、世界の敵…あ。


「(……もしかして、黒フードの話に繋がりますか?)」

「(流石はシンジュ様。察しが良い。…その通りです。私は、もしやその世界の敵とやらと、ミーシャたちをかどわかした人物に繋がりがあるのでは、と愚考しているんです。シンジュ様は如何お考えですか?)」


 …上手く説明出来そうにないが、俺もそう思う。

 今まで、忘れていた訳ではないけど、結論を出すのを後回しにしていたから、気付くのが遅れてしまっていた。

 というか、寧ろあからさま過ぎる。

 これ本当に三文小説のオチみたいなチャチな感じにならないだろうな?


 世界の敵とやらがあの黒フード自身。

 もしくは、世界の敵とやらの手先が、あの黒フード。


 分かりやす過ぎる。

 本当にそれで良いのだろうか。

 …ん?

 これ三文小説だろって声が聞こえて来たぞ。

 幻聴か。

 俺も相当疲れているな。


「(俺もそう思います。どちらかと言うと、敵の手先なんじゃないですかね?)」

「(私も、そう思っています。リョーニャに投げかけられた質問や、動き出したタイミング…シンジュ様を狙っているらしいことから考えても、そうでないと、あまりにも良く出来過ぎています)」


 やはり、という表情で、村長が呟くように言葉を送って来る。

 しかし、更に混乱は深まる。


 世界の敵が本当にいるとして。

 黒フードが本当に世界の敵の手先だとして。


 黒フードが俺を狙って来たのは、どういう意味だ?

 シンジュを狙ったのか?日本人を狙ったのか?どちらもか?

 日本人を探しているのは、どういう意味だ?

 黒フードの狙いなのか?世界の敵の狙いなのか?


「(シンジュ様)」

「(はい?)」

「(私は、貴方の信頼を得たいと申し上げました)」


 最初に村長と話した時か。

 急に何でそんな時の話を持ち出すのだろう。


「(貴方は、常に迷ってらっしゃる。こうして触れてみると、貴方の感情が直接伝わって来ます)」


 え、そんなに迷ってるのか俺。

 流石は、称号にまで考え過ぎと言われる俺だな。

 自慢にもならないが。


「(今も、どうすれば良いか迷っているのでしょう)」

「(…ま、まぁ…)」


 喉があれば、今頃ゴクリと鳴っていることだろう。

 何だ、この緊張感は。

 ていうか、俺分かりやす過ぎるってことか?


「(そこで、一つ提案があります)」

「(提案、ですか?)」

「(私はまず、他種族の現在の状況の詳細を調べることにしました。気になることもありますので。そして、シンジュ様に提案したいことと言うのは、修行です)」


 修行って言うと、もしかして、俺がこの間までやってたことの続きってことか?

 勿論まだまだやれることはたくさんある。

 魔術も習得出来るものならしたいし…。

 けど、それは今やるべきことなのか?

 もっと他に、やらないといけないことがあるんじゃないのか?


「(迷う気持ちも分かります。しかし、少なからずシンジュ様が狙われていること自体は事実のようですし、我々としては貴方が殺されてしまっては困ります。貴方だって、当然困りますよね?)」


 そんなの、困るなんてものじゃない。

 死んでしまえばすべて終わりだ。

 日本にだって戻れない。


「(当たり前ですよ!)」

「(そうですよね。我々の方で、より正確な情報を集めて来ますので、シンジュ様はどうか、来るべき日に備えて、修行を行ってください。それが急務です)」

「(…身のある提案を、ありがとうございます。早速そうしてみます)」


 村長は頷くと、指示を出さないといけないからと言って、家の中に戻った。

 修行…。

 来るべき日に備えて…。


「(とんでもないことになったな…)」


 つけない溜息をつく。

 読めない未来に、どんどん不安は降り積もるばかりだ。

 解決する為には、多分強くならないといけないのだろう。


「(仕方ない。とりあえず修行するか…)」


 それでも、人型で元気良く身体を動かす気にはなれず、俺は一人黙々と図鑑を眺め、取れそうなスキルを取るべく、挑戦を開始するのだった。

木「説明回もひと段落?俺頭痛くなって来た」

妖精『シンジュ様は頭がないから錯覚なの。大丈夫なの』

兄「そうだな!」

木「あれ、もしかして馬鹿にされてる…?」

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