episode:011 彼等について
ブラウ視点その2
……そして、シズク達のことをだいぶ知った。
episode:011 彼等について
まずコウヤは初めのうちは警戒を解かなかったが暫くすると段々話すようになった。多分一番話しやすいタイプだ。世間話はするが余計な事は言わない
ミレーヌは積極的に話をかけてくるが、大抵は今日のことや明日のことを聞くだけで此方の事は深く聞かないために遣りやすい。
クラウスはやはり未だに警戒をしているが俺と話すといきなり訂正、または否定が返ってくる。何故だろうか聞いたらため息を浸かれた。
レティシアは俺とシミュレーターで模擬戦を行うが、大抵多くがレティシアが勝つ。それ以外でも話はする。…偶にシズクの事を聞かれる。何故だ。
アルは警戒している様子は見当たらないが、やはり此処にいる誰よりも年長なため油断ができない。普段は彼等と同様に扱ってくれる。
…リチャードは変わらずに警戒をしているが特に何も言わないが極まれに睨みつけてくる。少し用心をしておこう。
……最後にシズクだが彼女の事は風呂やトイレなど以外はずっと一緒にいる。偶に質問などしたりするなど、良好だと思う。
とにかく、そのまま数日がたった。彼等はいつも訓練などをしているが皆笑っている。偶に厳しかったりするがいつもどこか楽しそうにしている。さっきもそうだ、対人戦闘で勝ち抜きなどをしていた。…結果はアルの勝利だった。……部屋に戻るとき考えていたが、シズクが話を掛けてきた。
「大丈夫ですか?何だか難しい顔をしています。」「……すまない、少々考え事をしていた。」
答えるとシズクは、そうですかと言って何も言わずに傍にいた。彼女と俺は今、食堂に向かうために歩いていた。……俺はシズクに聞いてみた。疑問に思った事を、何故か彼女に答えて欲しいと思った。
「シズク、なんで此処にいる人達はいつも笑っているんだ?……笑うことが悪いことだとは思っていないが、訓練や忙しい時もどこか楽しそうだ。何故だ?」
俺は、5歳の時からあの施設にいた。毎日訓練、実戦、任務を繰り返してきた。8歳になれば任務をこなしそれが成功すればまた次の任務についた失敗すれば、その場で死ぬ事も多かった。失敗したから殺されるんじゃない。任務そのものが死と隣り合わせだからだ。稀に死ななくてもまた、別の任務につく。……表情を出すことは全面的に支障をきたす。そのために笑うことなどはしない。だが、彼等は……
「……笑ったら、嬉しいからだと思います。訓練や任務の時は真剣にやらないといけませんが、終わったら笑うのは、きっと皆安心したりするから。その人の笑った顔を見たら嬉しくて安心するからじゃないかなって思います。……少なくとも私は、皆が笑ったら嬉しいです。」
シズクはそう言うとふんわりと笑った。……一緒にいて気付いたが、彼女はどことなく育ちの良さが偶に見える。此処にいる前はきっとどこかの令嬢だったんだろうと推測する。俺はシズクの答えを聞いて、
「そうなのか……。」
としか答えられなかった。……今の俺にはまだ分からないなと思うのと同時で、分かりたいと心のどこかで思った。そんな、自分に驚いた。
ブラウ君の過去が少し見えました、そんな回です。




