episode:20 眼前の敵
今回少し痛い表現があります。
…私は睨みつけた。
episode:20 眼前の敵
ー…シズク、元気でね。リチャードと一緒に逃げ切ってね …ー
あの日のユエちゃんの最後の言葉が頭に響く…私は、鋼の死神に向かってあの日と同じ質問を今度は冷静に言った。
「二人をどこに連れて行ったんですか。」
「さぁな。どこだと思う?」
…相変わらずはぐらかす…
私は、ルエストの事を通信機で知らせようとすると…
「そうはさせないぜ?少女。」
そう言うと…機体の手を振り上げ、私に向かってきた…が…ブラウさんが私の手を引っ張り、走った。
「…あいつはいったい何なんだ…」
「…ルエスト・シュバルツ…シュバルツ・レイヴンの主導者で…私の大切な人達を次々と奪っていったんです…」
私はそう言うと、私は俯いた。あの時、私は今みたいに誰かに担がれて逃げて…
「…っ!」
私は目を固く瞑り、あの日と同じなのかと心の中で悔しがった。
「おらよ!!」
ルエストは、いつの間にか持っていた木を投げて、私達の所に向かってなげた。途端に投げた木が私達の傍で落ち、地面を揺らしそしてその衝撃で、私はブラウさんの手を離してしまい、その場で倒れ転がり、木に背中を打ち痛みに声をあげそうになり、うずくまった。
「おい、無事か。」
私はブラウさんを見ると頷いたが、背中の痛みで起き上がる事が出来なかった。私はブラウさんに、 「逃げ…て…」
と言うとブラウさんは目を大きくした。私はそれに構わず、ブラウさんに自分が起き上がることが出来ないことを伝えると、
「私なら…大丈夫…だか…ら…お願…い逃げ…て」
ブラウさんは暫く私を見ると駆け出した。
ー…良かっ…た…これで…ー
すぐ近くにルエストが来ている。通信機もさっきの衝撃で飛んでしまった…。私はこのまま捕まるけど、彼が逃げ切れていることを思い、既に私を見つけた鋼の死神に今度こそ、捕まることを予感して、ブラウさんの無事を祈った…。そして、手が伸びて、私を捕まえようと手を伸ばし、私は最後の意地で睨みつけた…。
そしてまた再びピンチなシズク




