episode:047 目線
今回、school princessのとある攻略対象の独白。
…俺は、悪くなんてない!
episode:047 目線
俺は、今自分の部屋のベッドで頭を抱えていた。
今日、紅条 椿が俺の家に来た…。俺が碧の家に……父や母に何も言わずに婚約破棄したことを知られたのだ……。
勿論、俺は父と母に伝えるつもりだった…そして、彼女と一緒になるつもりだった…
紅条 椿は、俺達に茶山 碧がとある資産家に売られたことを俺と其処にいた家族に話した。
「何故……そんな所に…」
父は、顔をしかめて……
「嘘でしょう……椿さん……」
母は、口を覆って……
「そんな……どうして……」
妹は、顔を真っ青にして……
俺は、あいつがあの資産家の所に行くなんて知らなかったし第一、普通家族ならあんな……頭のおかしい奴の所に行かせる訳ないじゃないか…!
そして、紅条は俺達にあることを告げた。
「何故、碧様がそのような場所に行かれたのか……知っていますよね…?……白崎 清様…」
紅条の目は、まるで……冷たく…俺を見ていた…。だから、俺は……
「知っ……知るわけないでしょう?!…大体!碧とは…婚約を破棄しただけじゃないか!!」
思わず、その冷たい目から逃れたくて…言ってしまった……だけど、それがまずかった…
「……お前は……婚約を破棄することを私達に言ったか?」
父が、静かに……何も感情を移していない目で見てきた。
「……お兄様……?」
妹が、信じられないような顔で見てきた……
「…なんて事を……!貴方は!!」
母が、非難した声で言った……
俺は、余計なことを言わせた紅条 椿を睨みつけると……
彼女は、俺に向かって……先程よりも…冷たくて凍てつくような眼差しで…見下していた……
普段の俺なら、其処で何か言うのだが……家族からの糾弾と……何より……紅条の…あの…目線が何よりも…今まで経験した以上に恐ろしく感じて……
「お……俺は!悪くない!!悪いのは、あの…そう!あの女だろ!?」
逃れたくて、そう言ってしまった。そして、紅条は……
俺を、嘲笑するように……まるで救いのない、愚者を見るような……顔をした……。
怖くなり、そこから大人げなく逃げて部屋に閉じこもった。
そして、翌日……父から…俺を跡取りから外して妹を跡取りにすると言われた。だけど、納得できなくて抗議すると……
「……貴方は、自分のしでかした事の重大さを理解していなかったみたいね…」
母から、呆れを含んだ声で黙ると……
「…反省するようなら、少しは考えようとしたけれど……ダメだったみたいね……」
溜め息をついた母は、父を見て、
「……お前は、勘当することにした……大事なことを私達に相談なく決め…そして…自分の事に責任を持てない者を……上に立つ者としての資格はない」
その言葉に……声を失って…呆然とみると…
父は……あの時の…紅条 椿と同じような…目で…
「お前には……失望した……」
「……あなたが、行くところは…私の家に縁のある場所です……そこに行けば、私達とは既に関係なくなると思いなさい」
母の淡々とした声が部屋に響いた…
「話は終わりです……下がりなさい……」
何か言いたくても、何も言えずにその場で暫くした後、部屋から出ると……
「兄さんは…変わってしまったんですね……私はあなたを尊敬していました…だけど…私の憧れていた兄さんは、もういないんですね…」
妹が、部屋の外に行て俺を見ずに話す…
「どうか、お元気で……さようなら、兄さん…」
そして、振り向かずにそのまま去っていった…。
部屋に戻り、俺は今こうしてベッドに座って頭を抱えていた……。
ー…なんで……俺は悪くないじゃないか…俺は、騙されただけで…それに、碧がそんな事になってるなんて知るわけがない…なのに……ー
どうして、こんな事になったんだ……?
今まで、努力してきたんだ…跡取りになるために…必死に頑張って……なのに…なんで……どうしてこんな事になったんだよ!?
俺は、勘当を言い渡されたその2ヶ月後に母の家に縁のある場所に向かっていた……車は、両親が敢えて用意せずに、自力で行くように言われた……家族からの見送りは無く、その場から歩いて……、店の建ち並ぶ場所に出た。
町の人の笑い声と笑顔が自分を嗤っているように思えて、必要な物が入っているバッグをキツく握りしめて、近道をするために人通りのない場所に曲がると……
突然、後ろから誰かに羽交い締めにされた……。俺は必死に抵抗したけれど、それも意味がなく…そのまま……俺は、連れ去られた……。
そして、俺は思った……
どうして、こんな目に遭うんだ……俺は、何も……悪くないのに……。
と言うわけで、今回は攻略対象、白崎 清を書きました。……いや、書いてて神経をすり減らしたのは初めてです…
…コイツは、自分が悪いとは思ってないし、人に罪を擦り付けるし……子供かよと……子供でしたね。
因みに、神童と言われたのはコイツです。そして、設定では彼等の家族は大きな病院を経営しています。院長は彼の父親です。母親は看護師と言う設定。跡取りは妹に変更。
……因みに、妹は、自分の個人医院を持つのが夢でした。
それでは




