episode:170 三日月を握り締めて
今回は、第七章ラストです。
…端末から、アラームが鳴り響いた。
episode:170 三日月を握り締めて
どうやら、コウヤさんからの通信で無事に首謀者を捕まえられ、軍の人に引き渡されたとのことです。
…これで、この国にいた脅威はなくなったとみていいのでしょう。
多分、首謀者はこの後軍や支部の人達から厳重に罰せられると思います……そして、ミチエーリ・ヴォーグルは、壊滅するでしょう…
三日月のネックレスを強く握り締めて考えていると、艦長から通信が入りました。
『シズク君、ご苦労だったね…お疲れ様』
『はい、ありがとうございます…ところで艦長…あの、先程の機体は?』
私のその言葉に艦長は、
『…シズク君が戦っていた機体のことだね?』
頷くと、艦長は教えてくれました。
『あの機体は、煙を巻いた後迎えに来たヘリに連れて行かれて去っていったよ…とにかく、まさかのアクシデントだったから対処が出来なくてすまなかった……怪我はしてないかい?』
『大丈夫です。ありがとうございました、ただいま帰還します』
艦長との通信を切り、私は戻りました。
そして、ミレーヌさんに心配されて私は既に皆さんがいるであるメインルームに行ってあの機体のことを話すと……
「なるほど……だけどなんでシズクだけを狙ったんだろうな?」
「あそこには、シズク以外にもいたはずだが、迷い無くシズクを狙ってきていたな……」
確かに、あの時私以外にも人がいたのにその方々には目もくれず攻撃を仕掛けてきていました。ますます、頭を捻らせましたが、結局答えは出ずに、私達は解散、そして皆さん達は部屋や別の場所に行かれました……。
私も、甲板に来て…外したネックレスを見つめて、そっと撫でると……両手で優しい握ると目を閉じて考えます。
ー…ブラウ君の事、なんで裏切ったのか、最初からスパイだったのか…分からないことが沢山あるけれど…一つだけ、分かった事がある…ー
それは、彼が私に悲しい声で謝ったことと……あの時、私にトドメをささなかったこと…。
彼の中では私達はきっと今でも仲間だと思っていてくれている…だから、私は……
目を開けて、遠い遠い海の果てを見て……
「……絶対、真実を教えて貰って…そして、ブラウ君を連れ戻してみせる」
私は、ネックレスを付けて、甲板から離れた。
アナタの、本当の気持ちを知るために……あなたに伝えるために……私に出来ることをしよう。
私の思いに答えるように、蒼い石が既に夕日になった太陽に当たってキラリと光った……
というわけで、やっとロシア編が終わりました……長かった……この章だけで約一年以上とかどんだけ……
そして、閑話を挟んで第八章に突入します。
それでは




