episode:164 友の存在
今回は、声を掛けた人が分かります。
…その声の人は…
episode:164 友の存在
「……リチャード君…?」
私が名前を言うとリチャード君が私に向かって後ろの頭を掻きながら歩いてきた…
そして、思いっきり溜め息を吐き出した後……
私の頭を乱暴に掻き回した。私は突然の出来事に訳も分からず…流石に痛かったので、
「リチャード君…痛い……」
抗議の声を出した。…泣いたばかりで頭が痛いから余計にクラクラしてしまう…私がそう言うと、今度はポンポンと頭を優しく叩いた。今度は痛くなくて、だけど突然の事に着いていけないまま…混乱していると……リチャード君が、
「……良かった……」
と、ポツリと言った。顔を上げると優しく、彼は笑って…
「…泣けたって事は、お前はまだ、大丈夫だって事だ……」
その言葉に、私は
「……大丈夫じゃないよ……だって…ブラウ君が……」
その場で、言葉を出せないでいるとリチャード君が、
「…いなくなったってか……」
その言葉に、再び泣きそうになるとリチャード君がこう言った……
「…この際だ、思ったことを吐け……聞いてんのは俺だけだ……ま、友達が泣いてんだから、気にすんのは当たり前だ……後、俺はブラウの事は、生意気なガキだって最初は思ってたけど、それなりに……ずっと一緒にいるうちに仲間だって思っていたんだよ……だから、今回のことは俺個人は絶対許さねえし……腹が立った…だから…」
そのまま、大きく息を吸い込んで……
「アイツを捕まえて、そんで俺の目の前に連れてきて、思いっきり……ブン殴る!!」
そう言った彼は、勝ち気な顔で私の頭をくしゃりと撫でた。そして、
「俺の仲間を裏切った事と、友達兼妹分のシズクを泣かせたんだから、連れ戻して……んで、殴る……お前は、どうすんだ……このまま、泣いたままで良いのか?」
その視線の先には彼なりの決意が瞳の中に込められていた。私は、そこで気付いた……
ー…そうだ…傷ついて、悲しんでいるのは私ばかりじゃない……リチャード君も…皆も、本当は…私と一緒なんだ…だったら……ー
そして、目元を服で拭うと…リチャード君を見て……
「……私は、わけを聞いて、ブラウ君を……連れ戻したい……だから……」
…泣いてるんじゃなくて……立ち上がらなくちゃ…
「だから、そのために……私が出来ることをしたい……」
そして、リチャード君が満面の笑みを浮かべた後、
「よし!いつものお前に戻ったな…!」
拳を目の前に突き出してきた。私は、それを見て、なんとなく自分の拳を会わせると…
「なら、お互いのやることは決まったな!」
「……うん!」
私は、大切な友達とこの時、ブラウ君を取り戻すことを、誓った……。
と言うわけで、シズクはリチャードと共にブラウを取り戻すことを誓いました。
今回は、リチャードとの友情を全面におきました。この二人は、お互いが友達兼兄、妹分のように思っているので友情的に両思いです。リチャードにとって、シズクは大切な友人の一人。そして彼は情に熱い男です。今回は書けて良かった!
それでは




