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乙ゲーと思ったらロボアニメでした。  作者: 小宮 海
第二部 動き出した、モノ 第六章 ノリリスク編
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episode:038 ある、メイドの独白

今回は、メイドさんのお話です。

…私は、憎い。あいつ等が…


 episode:038 ある、メイドの独白


 私は、自分がまだ16歳の頃に蒼宮家にメイドとして雇われた。その頃の私はまだ、この屋敷では新人同然だった。この屋敷の主人は良い人で奥方様もとても優しく、先輩達も皆、根気良く教えてくれた。そして、中でも私はここの御息女である、雫お嬢様が大好きだった。お嬢様は、初めて私と会った時はまだ6歳で私が彼女の専属のメイドとして私は採用された。

 ここだけの話、私は両親も親戚もいない。両親は私が幼い時に亡くなり、親戚は初めからいなかった。私は自分の生活の為に募集に食いつき、泊まり込みの職場に転がり込んだ。今思えばよく晴司様は採用してくれたもんだ。そして、まだ当時未成年だということで私はならば通信制の高校に通う事を決めた。そして、私は蒼宮家の雫お嬢様専属のメイドとして働く事になった。

 お嬢様は、初めは私を見て直ぐに奥様の後ろに隠れてしまい、これは駄目だったかと思うと奥様は私とお嬢様を見てクスリと笑い、

「あら、雫ったら照れてるのね、」

と言い、お嬢様は私を見るとこっそりと恐る恐る顔を出した。私はこの時のお嬢様を見て、

ー…なんか、小動物みたいな子だな……ー

と思っているとお嬢様は、私の前まで来ると顔を赤くしながら、


「はっ…はじめましちぇ…!わたしはそーぐーしずくです!!よろしくおねがいしましゅ…!!」


 噛み噛みだが、それでも一生懸命言ったお嬢様を見て私も、


「はい、此方こそ宜しくお願いします。…雫お嬢様。」


 上手く、笑えただろうか。お嬢様は目を見開いて今度はニッコリ満開の笑顔で答えてくれた。そして、最初はお互いにギクシャクしたが年数が経つにつれて私とお嬢様は、ご主人様や奥様、屋敷の人達からまるで姉妹のように見えたと言われた。正直、嬉しかったし茶山 碧様がお嬢様と仲良くしていると多少嫉妬はした。だけどやっぱりお嬢様が楽しそうなら良いかと思っている。そして、偶にちょっかいを掛けながらも楽しく何処か幸せな日が続いた。


だけど…ある日、あの男が…青宮 竜弦がお嬢様が昨日、ある女子生徒に襲わせたと事実無根の事をほざいた。だってその日はお嬢様は風邪を引いていて、私と奥様が病院を午前中に行きその後は私が付きっきりでお嬢様は寝ていた。竜弦の話からはお嬢様は昨日頼んだと言っていたがそれこそ私が一緒にいたのだから…しかし、私の証言は一蹴されちょうど帰ってきたお嬢様が…御自分から『無国籍』になることを選ばれてしまった…。奥様達の説得も、首を振り…そして数日間は、紅条 椿様も来たりしてくれた。…碧様は転校されたと聞いた…。そして、お嬢様は屋敷に出て行ってしまい、残された主が既にいなくなった部屋を掃除すると…机の引き出しに、


ー…いつも、私の為にたくさん教えてくれたり遊んでくれてありがとう。これからもよろしくね。 雫より。…ー


 私宛の手紙と私のためのプレゼントである、可愛らしいウサギのぬいぐるみがあった…。私はその後、ぬいぐるみを抱き締めて泣き崩れた。異変に気付いた他のメイドも察したのか、私を抱き締めた。…そして、数ヶ月後に…あの男の息子が、屋敷に訪れた。私はなるべく感情を押し殺して対応したが…


  ー…雫が、何処にいるのか教えてくれないか…ー


 この一言で私は、感情を爆発させた。ふざけるなとお前達親子が碌に調べもしなかったくせに…そのせいで私の大切なお嬢様が…私はいつの間にか叫びながら目の前の馬鹿な男を罵倒した。そして、異変に気付いた奥様が私を他のメイドの先輩の託して使用人の一人が奥様を守るようにしたのを見た後に私は自室でぬいぐるみを抱き締めながら泣き続けた…メイドの先輩も私を抱き締めてくれた。


 私にとって、家族が欲しかった私にとってここの屋敷は大切な場所だ。だけど、お嬢様がいてくれたから私は馴染めた。不器用で愛想のない私にとってお嬢様は優しい光だった。だからこそ、私はあいつ等一家を許しはしない。お嬢様は帰って来ない…。だけど…


だけど、お嬢様の大切な場所であったこの場所を私は好きでいよう。私は、ぬいぐるみを強く、抱き締めた…。



彼女についてはepisode:022で出てくる方です。後はepisode:030にもいます。実はこのメイドさんの話はいつか入れたいと思っていました。なのでこのタイミングで入れさせて貰いました。さて、久しぶりに出てきた青宮親子ですが、まだまだ先になります。しかし、彼等がどうなったかはちゃんと出すのでそれまで待っていただけるて嬉しいです。では。

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