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乙ゲーと思ったらロボアニメでした。  作者: 小宮 海
第四章 サハラ共和国編
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episode:022 青い薔薇

最後に狂気があります。残酷表現ではありません。

…俺は…愚かだった…


 episode:022 青い薔薇


 俺は今、紅条 椿の車に乗せてもらい、今父親と話をした…。父曰く雫は、蒼宮の名前で少年院に入るか…


 ……『無国籍』になり、世界の為に戦うか……


のどちらかを選ばせ、彼女は後者を選んだと言った…俺は、訳が分からなかった…だって、普通に考えて前者を選ぶじゃないか…父は、話が終わるのと同時に部屋に戻った…あの様子は、何かに苛ついていた様子だ…。俺はソファに腰をかけて考えていた…


 …雫は、俺達のせいで…俺達がちゃんと信じなかったから…だから…


…あの時、赤皇達と一緒に雫を疑って、彼女に寄ってたかって責め立てた…今思えば、紅条の言うとおりだ。まだ、小学部の子に対してあれは無かった…


…たから、蒼宮の家に雫に謝りに行ったが…


…対応したのは、雫の両親ではなく、メイドだった


 …彼女は、俺を見ると険しい顔をして冷たい声で言った…


ー…旦那様は、お会いになりません。お帰り下さい。…ー

 

…雫の家は、金持ちとしては小さいがメイドが三人、使用人が二人いる。…そして、皆仲がいい…

俺は、雫が何処にいるのか聞くと…


…彼女は、俺をまるで親の敵のように睨みつけた…そして、目からは涙を流して…


ー…ふざけないで下さい!お嬢様を…お嬢様が貴方方に何をしたと言うんですか!?あの方は、何もしていないのに!!…返して!!私達のお嬢様を返してよ…!!…ー


…あの時は、何も分からなかった…雫がてっきり少年院にいるだけだと思ったから…だけど、彼女は耐えていたんだろう…俺が不用意に言った言葉で決壊したんだ…


…彼女の叫び声に、気が付いて扉を開けたのは…雫の母親だった…泣いている彼女を、別のメイドに預け、今度は使用人が雫の母親の傍についた…彼は、メイドとは違う、完全に冷たい空気を纏わせて雫の母親を守るような体制だった…そして、


ー…雫は、あの子はもういないし、居場所も教えられないわ…だから、二度と来ないで…貴方のことは思い出したくないの…あの子を失った辛さも…ー


彼女は、静かに涙を浮かべて屋敷に入って行った…俺は呼び止めようとしたが、使用人に阻まれてドアを閉められた…俺は、呆然としたまま扉の前にいたが、やがて雫の家から離れていった…


…そして、雫の居場所を知っていそうな紅条 椿にも聞いたが、彼女は冷静だったがやはり怒りを押さえ込んでいた…そして、自分の親にもう一度聞けと帰らされたのだ。…帰って父親からしつこく聞くと何かに苛立ったていたのか、棘のある言葉を交えていった


ー…ふんっ…あぁ、雫さんね。本当は、『無国籍』になっていたんだ…私が選ばせた…ちっ…お前のせいで何もかも上手くいかない…ー

ー…は…?何それ…だって、雫は…!…ー

ー…うるさい!!これで上手くいくと…くそっ!…ー

ー…待てよ!父さん!どういうことなんだよ!?…ー


その後は、今の通り…俺はソファに座り、もう雫に謝罪出来ないのか、と思うと…


…ふと目に、小さな青い薔薇が目に入った…あれの花の、名称は…リトル・ドロップス・ローズ、母が多分入れたんだろう…なんとなく、

…花言葉は、何だったかな…

と気にした…

俺は、手にしている端末を調べると花言葉は…


ー…かけがえのないもの、可愛らしい君、そして…閉じ込めたい…ー


…俺は、調べるのをやめた。…俺は何故こんなにも雫を気にしているんだろう。勿論、俺のせいであんな目に遭わしてしまった罪悪感はある…雫と初めて会ったとき、こんな小さい子が婚約者だなんて思わなかった。そして、家に来たり、遊んだり、幼なじみになりこのまま行けば、ずっとこの関係で行けば、彼女とは、いずれは結婚をしていた…。

…俺は、その薔薇を1つどうしても欲しくなり1つ取った…

ー…今更かもしれない。俺は莉梨花が好きじゃなくて、ただ彼女に自分の弱さを受け止めてもらえて…それが、嬉しくて…恋をしたと勘違いをして…ー

…だけど違った…近すぎて、彼女が俺よりも五歳年下ということを言い訳にしていた…失って、手に届かなくなって気が付いた。

 本当は、気付かなかった方が気付かない振りをしていれば、この胸に押し寄せる後悔と苦しさと…彼女に対しての、愛しさに…胸を焦がすことはなかった…だけど、気付いてしまった…俺は…


「雫が、好きなんだ…あの子の事が…」


…俺は、手に入れた一つの薔薇を自室に持ち帰り小瓶にいれた。…そして、小さな薔薇を枯らさないようにするために、父の知り合いに貰った、特殊な液体を入れて、固まるのを待つと…見事に小瓶に青い薔薇が綺麗に可愛らしく咲いていた…俺は、これを月が見える場所に置いた。…綺麗だ…


ー…最低な事をして、傷つけて、今更すぎる…五歳も年下の子に押しつけたくない…だけど…ー


ー…竜斗さん。…ー


彼女の、俺の名前が呼ぶ声が優しく頭に響く…小瓶を握り締めて窓を見ると、俺は…


ー…薄く笑いながら、小瓶に名前を呟いて口付けを落としていた…ー


…雫、君が好きだよ。俺のせいで酷い目に会って嫌いになっただろうし、もう謝りたくても会えない…だから、



…この薔薇を君だと思って、生涯ずっと大切にするよ…


そうして、俺は再び月の光を薔薇にあてて眠りについた…

……幼なじみ兼元婚約者、ヤンデレました…。いろいろ身勝手過ぎる彼ですが、これでも黒瀬先生除く攻略対象者よりは反省はしていますが…コイツ、別の意味で救いようがねぇ…。青宮父の様子ですが、それは後に。最後に、この話を読んで下さって誠にありがとうございます。


…さて、次は砂漠編のあれこれを書きます。書いたら学園編を始めます。

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