episode:0 始まり。
初めてのロボット物の話です。今回は前半は自分なりにパターンとして書きました。
…一体何がどうなったんだろう。
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その日、私は学園に通っていた。よくある風景だと思う。だけど待ってほしい。この状況はどういう事だろう。そして、
何故私の婚約者と数人の男子生徒とその周りを囲むように在る意味有名な女子学生が私の目の前にいるのでしょうか?思わず首を傾けた。
「何故こういう状況か分からないのか?」
黒い髪に赤い目の生徒会長が私を見て、睨むように言ってきた。
「いい加減白状したらどうですか?」
白い髪に茶色目の副生徒会長が冷たい目で見てきた。
「トボケても~無駄だよ~?」
黄色い髪に黒い目の書記が笑っているようで笑っていない雰囲気で言ってきた。
「…黙ってないで、何か言え。」
茶色の髪に同じ目の会計が冷えた声で言い放つ。
「全く、幾ら君が彼女より年下だからと言っても悪いことの区別が付かないとはな。」
白い髪に黒目のまるで呆れたように先生が言う。
他の学生も校門の前で何事かと私達の所に野次馬をしていた。好奇の目が私達を見ている。私は訳が分からず、彼等に言った。
「あの…何のことでしょうか?そちらの方はどちら様ですか?初めてお会いするのですが。」
思わず、言ってしまいました。それを聞いた生徒会長は目を細長くし、思いっきり睨みつけた。
「とぼけるな!!お前が莉梨花を酷い目にあわせたんだろう!!」
「証拠はあるんです。白状しなさい。」
「…最低だな。」
…そんな事を言われても、分かるはずがないだろう。現に、彼女とは初めて会うのだから。彼女…亜麻色の髪を腰まで伸ばした大きな黒い目を持つ莉梨花を思わずみる。何故か震えだしてしまった。それを見た先生が庇う。
「本当に~分からないの~?…頭悪いんじゃね?」
少し言い方にカチンときたが無視する。
「昨日、帰りに複数人の男に莉梨花が襲われたんだ。未遂で済んだがな。その時男達はこう言ったそうだ。蒼宮 雫に言われたと。」
私は思わずはっとする。だって…
だって、私は彼らに彼女を襲えなんて言っていない。
「私、知りません。彼等も知りません。」
そう言うと、莉梨花さんがまるで涙目で私を見ていった。
「皆もうやめて?私の勘違いかもしれないもの…蒼宮さんじゃなくて人違いかもしれないわ…。」
全く持ってその通りだと思います。だけど貴方、何故目が笑っているようなんですか?
「莉梨花…君はなんて優しいんだ。だが、庇うのはよすんだ。」
「そうですよ、彼女の為になりません。」
「莉梨花の優しさに付け込むなんて最悪~。」
「いい加減、認めたらどうなんだ。」
私は真っ暗になりそうな意識をグッとこらえてそれでも違うと言い続けた。だけど、目線が…莉梨花さん以外の目線が険しくなる。野次馬の人達は変わらずに現状を見ている。たまらず、泣きそうになるのを堪え、下を向いた瞬間。
「…あなた達は下級生、それも小学部の子を相手に何をしているのかしら?」
「…椿か。」
生徒会長の声で顔を上げると綺麗な黒いの髪に縦に巻いたロール、亜麻色の目が印象的な女性が私を後ろに庇ってくれた。
言い合っているが彼女は私を庇ってくれているようだった。どうやら、私が今疑われてる事とはまた違うが過去にも私以外の方達にも言いがかりをつけられていたとのことだった。そのまま黙って見守っていると、始まりの鐘の音が響いた。
「椿…覚えておけ、正しいのは俺達だ」
そう言うと踵を返し、学園に戻っていった。途中で婚約者が私を睨むとそのまま戻っていった。胸がかなり痛むのを感じた。
「あの…ありがとうございます…紅条様…」
お礼を言うと紅条様は私に優しく微笑んで頭を撫でて慰めてくれた。
「怖かったでしょう。彼等がああも可笑しくなるなんて…全く私だけでなくほかの方や貴方のような小学部の子まで。どうしようもないわね。」
ため息をつくと、彼女は撫でる手を止めて学園まで一緒に行ってくれた。集まっていた人も既に学園の中に入っていた。暫く話をすると私達は別れてそれぞれの学部に戻っていった。教室につくといろんな子達に聞かれたが、何とかはぐらかしその日は何事もなく終えて家に着いた…が…
何故か見覚えのある黒い車があった。そしてそれが婚約者の車だと分かった。直ぐに家に戻ると父と小父様が話をしていた。何やらこちらも言い合っていた。そして、小父様の声が聞こえた。
「…このままだと貴方の家に傷が付きますよ。どうするんですか。」
それに対して私はドアを開けた。両親が私を見るなり泣きそうな顔で、見た後。
「家の子がこんな事するわけありません!」
「何かの間違いでしょう!もう一度こちらで調べさせて貰います!」
「何度調べても同じです。彼女は罪を犯したんです。償いをしなければなりません。」
「私達は雫を信じています!あの子の無罪が分かるまでは何度でも調べます!」
「…此方も脅したいわけではありませんが仕方ありませんね。」
そう言うと私の事を記事にするとの事を言った。青宮家はこの国の裏のトップだ。きっと一介の家などいともたやすく潰す。私は、これでも蒼宮家の娘だ。私は前を向いて両親を見て笑い、小父様を…青宮 竜玄様を見て決意をした。
「分かりました。私がやりました。」
「全く初めから素直に認めればいいものを。」
「雫…!」
竜玄様はそう言うと私に選択を迫った。一つは私を蒼宮家の名前で少年院に入ること、そしてもう一つは…『無国籍』となり、世界のために道具として戦うことだった。両親は悔しそうに顔をゆがめた。私は後者を選んだ。両親は私を見て前者を選んで欲しかったみたいだけど、そんな事をしたら蒼宮家で働いている人が路頭に迷うことになる。そんなのはダメだと思った。竜玄様は満足したのか、挨拶をして帰っていった。両親は私を説得したが私は頑なに首を振り、両親は諦めた。その日は家族三人で一緒に寝た。久しぶりで何だか暖かかった。
そして、いろいろな準備が整い私は家を出た。迎えの人が来るまでに私は両親と一緒にいた。そして迎えの人が来たとき、遠くで紅条様が私の元まで来てくれた。整うまでの数日、紅条様は私事を何処かから知ったのか悪くないのに謝っていた。私はお礼を言った。その後は転校という形になり、一昨日学園を去り、別れたばかりなのにと思うと、紅条様は私を見つけると抱きしめ、
「ごめんなさい…何も出来なくて…」
と言うと私は首を振り、微笑んで、
「ありがとうございます。紅条様。私…私達の為にいろいろしてくれて…」
しばらく会話をして、私は両親に抱きつき、両親は何時もより強く、優しく抱きしめてくれた。
そして、私は迎えの船に乗りずっと見送ってくれた両親と紅条様がいる港をいつまでもいつまでも見続けていた…その日はよく晴れた、綺麗な空だった…
…だけど、私はこの時知らなかった。この時の選択が思っていたより過酷な事を…そして、再会することを…
そしていずれ世界を巻き込むことを…
これは私の、そして私達の始まりの話。
まだ、ロボットは出て来ませんがこれから出てくる予定ですのでよろしくお願いします。