ケム・トレイル
掲載日:2015/06/04
高く高く、青い空。
山の向こうに、赤い、空。
雲の向こう、紫のそら。
君と二人で見つめている。
遠い空を、見つめている。
四つの目。
二つのエンジン。
川の防波堤。
草の生えた斜面。
敷かれたレジャーシートの上。
寝転んで。
手を繋いで。
視界の端から、横切る雲。
一機。
二機。
ここは航路の下。
色ごとに切り分けるように、飛行機が横ぎっていく。
高い一本。
低い三本。
僕たち二人の手の上を。
横切る一つの線。
丁度、小指の上を。
手に載る冷気。
体中に広がる不快感。
絶えず話をする二人。
堪えず、毒を吐く二人。
どうしたって、二人の間に入ってほしくない。
何をしたって、この糸を切ってほしくない。
僕の思い。
手の届かない、誰かの勘違いの道。
手の届かない、誰かの毎日。
無関係な人。
無関心な人。
こちらを見ない。
その瞳には、入らない。
誰かが常に踏んでいく。
僕たちの日常。
隣の顔を見れば。
そこにあるのはマネキン。
誰だって、いつだって入れ替わる。
しっとりと濡れたその顔。
見えるはずのない涙。
マネキンの瞳に映った僕は。
覗き込むことをやめ。
降りしきる雨に、傘を差した。
誰が晴れているって言った?
そう、いつだって一人。
誰かいるのは妄想。
誰かが居ても、それが誰でなくても。
何かが居れば、それでいい?




