大将、陸にはね
陸には海にはない、ちょっと変わったものがたくさんあるんだ。
例えば?ん~
本当は大将に見せてあげたいけど。
よし、分かった!
そんなに知りたいなら、僕の独断と偏見に塗れた感性で、簡潔明瞭に説明してあげるよ。
いい?おほん。
名付けて「海之本辞典」、始まり始まり~。パフパフ!
ではまず、陸の僕の周りにあるものから。
家:僕の楽園
窓:世界と楽園を繋ぐ戸口
カーテン:柔らかい壁
カレンダー:時の居場所を知らせるもの
ノート:世界を刻む場所
シャーペン:世界を記す道具
マーカー:答えの居所
消しゴム:間違いを隠滅する塊
イヤホン:世界を遮断する装置
メガネ:人に視力を与えるもの
ごみ箱:生きた証
時計:目に見える時間
リモコン:まるで魔法
財布:恐ろしい袋
枕:聖なる頭の寝どこ
布団:僕の住処
ズボン:僕の脚が好きらしい
本棚:物置
ハサミ:爪切り、髪切り、ネジ回し
整髪料:なくても同じ
椅子:正座する場所
スリッパ:なくても歩ける
テーブル:団欒と孤独の場所
カップ:小さな井戸
皿:僕のエサ入れ
メモ:履き溜め
冷蔵庫:唸る食糧庫
洗濯機:回る回るお風呂
電子レンジ:僕のシェフ
マット:万年足ふき
包丁:人を不器用にするもの
まな板:食材の解剖所
ん~
ん~
ん~、何か思いつかなくなってきた。
え?意外に面白いって?
大将も知らないことあるんだね、あはは。
しょうがないな、また海之本辞典開催してあげるよ。
痛っ!僕の大事な頭叩くなよ~、脳みそが小っちゃくなるだろ。
あ、大将そんなこと言うなよ、悪かったって。
辞典だなんて調子こいて、もうぶっこいて、ほんとすいやせん。
僕が面白かっただけです。
でもさ、生きていくために必要なもの、僕、ちゃんと持ってるんだね。
当たり前だなんて思わずに、頑張らなきゃいかん。
大将、僕、ちゃんと生活してるよ。
すごいね、すごいよ。
大将も褒めてくれい!