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紗綾 ~君と歩く季節~   作者: 萌葱
三年生 二学期~
75/117

まさか、カリカリ梅と酢昆布入りじゃねーだろうな……

 いつも鳴木と分かれる交差点、待ち合わせの場所にはもう二人とも居て

「おっ! よく出来てるな」

 黒田に褒められてちょっと嬉しくなる。

 でも、鏡ではよく見えない後頭部が心配で丁度後ろに居た鳴木に、大丈夫かな? と聞いたら

「良いんじゃないか?」

 と、答えてくれたけど、その声音はつまらなそうで、何だか、少し不機嫌? って思ったけれど男の子にとって髪型なんてこんな物かなと塾へと走り始めた。


 あの日ブロー用の回転するブラシをそのまま一条に貰ってしまった。

 演劇部の物なのに!? って驚いたら、部活後に髪が乱れた時用に演劇部に置かせてもらってる私物だなどと言って居る

「流石に、ここにおいて置いたら教師に没収されそうだし、ドライアーが無ければ意味がないものだしな」

 それで演劇部に預けてまで、部活の後の髪を気にしているという所に呆れを通り越して感心してしまった。


 結局、家に幾らでもあるし、こういうの何処で買うかも判ってなさそうだなんて言うのに、確かにって黙ってしまったら、笑って持って行けと言われて結局受け取ってしまった。


 週末に頑張って練習したら、ママには珍しいと笑われたけれどなんとか外に行っておかしくない程度にはなったと思う。

 その時に友達がくれたとブラシを見せて、お礼をしなくちゃだよねって相談したら、クッキーを焼いたら? ってにっこりと……。

 お菓子作りが得意なお母さん直伝の友達にも評判の良いクッキーだから、アイディアとしては悪くないし、私もお母さんと一緒によく焼いているから、焼くことは出来る。

 ただ……私は甘いモノが嫌いなので、焼く時のあの部屋に充満する香りを思い出して、うええ……って思ったら、顔に出ていたのか、大抵の女の子は好きでしょうに、と嘆いてたけれど、まさかこれをくれたのも、教えてくれたのも男の子とは言えなくて。

 でも、まぁ、ここの所迷惑を掛け通しの皆へのお礼にも出来るかなと、これから部屋に充満するであろう甘い匂いに立ち向かうことを決めた。


 月曜日の朝に香織にファイルを渡しながら

「すっごく助かった、ありがとう! 演劇部に返して貰って良いかな? 本当は直接お礼を言いたいけど下手に巻き込みたくないし、今は余り接さない方が良いかなって」

 そう言うと、任せて!とにっこり笑ってくれた

「あ、そうそう、あと昨日クッキー焼いたんだ、学校には持って来れないから後でお家に持って行っても良いかな? 後、成海君の家よく行くって言ってたよね? 彼の分も預けるから、渡して貰って良い?」

「お安いご用だよ! 紗綾のってめちゃくちゃ美味しいんだよね! 甘いもの嫌いなのに何であんなに絶妙なのか……、楽しみにしてる!」

「レシピがあれば同じ味だよ?」

 そう言ったら情緒がないと嘆かれた。


 優樹にもサッカー部の部室での昨日の話と、夕方にクッキーを届ける話をしたら。

「匂いだけでも嫌だろうに、でもうちのママもファンなんだよね、楽しみにしているよ、……しかしブローって、男女逆転じゃない?」

 と、苦笑していた。


 塾への通り道のすぐ側にある二人の家に届け物をするからと、少し待って貰って急いでクッキーを届けた。

 塾へ行く途中だし、二人を待たせて居るしで、時間は凄く短かったけれど、クッキーを渡した時の優樹と香織の笑顔に、甘い匂いを我慢して焼いて良かったと思えた。


 塾の終わりに、一条が学校での様子を聞きたいと駐輪場まで一緒に来てくれたから

「色々ありがとう、受け取ってくれると嬉しい」

 大した物じゃ無いけどねって、クッキーを渡した。

 以前ちょっとした切っ掛けで一条に調理実習で作ったマフィンを受け取って貰ったこともあったから、甘い物も大丈夫だろうとは思ったけれど、受け取ってくれたことにほっとして、鳴木と黒田にも迷惑かけてごめん、手間かけるけど暫く宜しくとクッキーを渡した。


「まさか、カリカリ梅と酢昆布入りじゃねーだろうな……」

「お母さん直伝の評判のいいクッキーだから大丈夫だよ、もう何回も作ってるし、いらないなら返してもらっても構わないけど?」

 失礼なことを言う黒田にそう返したら慌てて鞄の中にしまっていた。

 それを見て甘いものは好きだものねと少しおかしくなった


「お前が作ったの?」

 と、鳴木が驚くのに頷いたら

「食えるのか?」

 と一条が呟く

 あのねぇ……皆、私をなんだと思っているんだろう? 

 だから、大丈夫だってば! ってもう一回、きっぱりと答えたら

「さんきゅ」

「悪いな」

 そう笑って、漸く鞄に入れてくれたけれど、さ。




この先の予定なのですが。


いつも通りの月曜日にはPC前に居られない為、二十九日か三十日にこの続きを一本upと、その別視点ネタの小話を拍手お礼にする作業をしたいと思っています。


現在のクリスマスネタの拍手掲載は次回投稿までとなります。


その後は、三十一日から五日までPC前に居られない状況となりますので、七日月曜日のup迄お休みさせて頂きたいと思います。


少し変則的なupとなりますが、宜しくお願い致します。


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