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dark eyes
雲ひとつない空。
神は今日を祝福している。
故郷に別れを告げ、私はこの地に来た。
長く続いた戦争は、私の嫁入りによって終わった。
政略結婚というもの。
これで、国や民を救えるならなんてことない。
「皆はきっと、姫様を歓迎します。」
「歓迎されようがされまいが、私は王の妃になるの。歓迎されなかったからって今更帰れないわ。」
「姫様は、お強いですね。」
沢山いた侍女も、今は1人だけ。
「あなたも、帰りたかったら帰っていいのよ?」
ヘラは私が生まれた時から、私に仕えていた。
母のような、姉のような
私の大切な人。
「私はあなたに仕えるために生まれてきたんです。ですから、この身が尽きるまで姫様のお側にいる覚悟です。」
包み込むように私を抱き締める。
「大丈夫。私も初めて踏み入れる地です。不安なのはあなただけじゃない。」
ヘラには嘘はつけない。
私が不安で仕方ないことも全てお見通しだったのね。
「さぁ、皆あなたを待っています。」
門が開き、沢山の歓声が私を迎えた。