お姉さまの婚儀
吉日
まぁ~~!!何て嬉しい事でしょう♪
お姉さまが鷹明様と終に婚儀をされる事になりました。
早速、お姉さまにお祝いを申し上げる無ければなりませんわ!勿論、友親様も御一緒です。
お姉さまと鷹明様。どのような御顔で過ごされている事でしょう!楽しみ。
「楓ちゃん。助けて~~!!」
「ど、如何されましたの?お姉さま!」
「萩さんが・・・萩さん、怖い~~。」
「・・・・?」
「凛。萩が呼んでいるぞ~~!」
「・・・・楓ちゃん!私を隠して!」
「凛殿。隠れきりません。いったい何があったのです?」
「友親。楓殿もよく参られた。今、萩から北の方の心得を教えて貰ってるところなのだ。なぁ、凛。」
「そうなのよ~~~!怖いの萩さん!」
「ハハハハハ・・・!そうか!凛殿の教育か!!萩殿はそれで顔付きが違うのか。」
「そうなのよ。『桐家の北の方様なるものは。』って言ってね!私は元々貴族様じゃないし、にわかに身に付くものものでは無いわよ。それに、鷹くんだって今のままで良いって言ってくれてるのに。」
「まぁ、凛殿。萩殿が仰る事も大事であるぞ。凛殿には難しいであろうが。クスクス・・」
「友親、凛を虐めるな!俺は今までのままの凛で良いと思っている。」
「・・・・・・・・・・」(友親)
「そ、そうで御座いますとも!今までのお姉さまで宜しいですわ。私。」
と私は思わず、お姉さまの味方をしてしまいました。
そして、お姉さまに「北の方様教育」は無理なのではないでしょうか?
「北の方教育」とは所詮、私達の世界の事ですから。
月の世界のお姉さまには無意味な事なのかもしれません。
それに、鷹明様だって今までのお姉さまで良いと仰っておられるではありませんか。友親様!
友親様は困った方です。何人の女は全て「こうでなければいけない!」と言う考えをされています。
私は何も知らずに友親様の言う事が一番正しいと思ってきましたが・・・・・私、少し早まって婚儀をしたのかしら?お姉さまが羨ましいですわ。
私も友親様に自分の思う事が言えたら・・・・いいえ!私がそのような事をしてしまったら友親様は他の女の方の所へ行かれてしまいます。私、困ります。
きっと、私は今のままで良いのでしょう。友親様に嫌われるのはイヤですもの。
それにしても、友親様からいつもお聞きしている鷹明様とは違います。
なんて、喜ばしい御顔をされておられるのでしょう!
そして、お姉さまも!
お姉さま。もう、月へは帰れませんことよ。
鷹明様。もし、もしも、お姉さまが月へ帰られるような事があれば私は一生許しません!
覚悟して下さいませ!
そして、お姉さまの婚儀の時の正装はきっと、綺麗だと思いますの。
鷹明様も凛々しいお姿で、お姉さまの横に並ばれるお姿はきっと「雛壇」のようでございましょうね。
そうそう、友親様は帰り途中に「鷹明はこれから苦労するだろうな~。でも何故?凛殿だったのだ?」と仰いました。本当に呆れますわ。友親様!だって、鷹明様の方がお姉さまの事をお好きだったのですから。
友親様って鈍感ですこと!あんなに鷹明様のお傍におられていたのに何も知らないのですね!
もう、イヤですわ!私の方が「何故、知らなかった?」とお聞きしたいくらいですわ。




